サンフランシスコ発--新しい技術の登場でシェイプアップしたブラウン管テレビが、薄型平面テレビの土俵で勝負を挑もうとしている。
米国時間18日に当地で開催されたディスプレイ関連のイベントで、メーカー各社の幹部らは大幅に薄いブラウン管(CRT)テレビが来年登場し、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマなどの最新技術を用いた流行の薄型平面テレビよりも安い価格で店頭に並ぶだろうと述べた。
「これらの薄型ブラウン管は、高画質と薄さという両方の長所を提供する」と、LG.Philips Displays Internationalの企業戦略ディレクター、Siegfried Trinkerは語った。
画質と価格で勝り、市場の大部分を占めているにも関わらず、ブラウン管テレビは精彩を欠いており、LCDやプラズマを用いた薄型平面テレビに主役の座を譲りつつある。
LG.Philips Displaysはすでに薄型テレビ用のブラウン管を限定的に製造しており、米国で2005年後半に販売を開始する予定だ。このテレビの価格は当初、現行のブラウン管テレビよりも高めになるが、しかし急激に下落するとみられている。
米国で薄型ブラウン管テレビを最初に提供するのは、韓国のLG Electronicsと蘭Royal Philips Electronicsの合弁会社だ。両社は、LCD市場では2番手となるLG.Philips LCDも共同で設立している。
Samsung Electronicsが提供を予定している30インチ画面のブラウン管テレビは奥行きが約16インチ(40センチ)で、薄型平面テレビほど薄くないが、そのスタンドとはほぼ同程度の奥行きだと同社幹部はいう。
現在、ブラウン管テレビは世界市場の約90%を占めているが、ここ数年間はほとんど成長していない。実際、ブラウン管テレビで成功した多くの企業がこの市場から少しずつ手を引いており、薄型平面テレビに注力しつつある。薄型テレビの出荷台数は穏やかな伸びを示し、わずか5%を占めるに過ぎないが、大きな差益が取れるため各社が興味を示している。
各社の幹部らは、ブラウン管ビジネスがすでに成長フェイズを過ぎていると認めたが、しかし市場で整理統合が進むなかでいまだに商機があると考えている。
LG.Philipsはこの新型ブラウン管を提供しているが、同社の幹部らは薄いほうが市場のウケがいいと述べている。
新しい薄型平面テレビは、その薄さと大きな画面サイズから、消費者の関心を集めている。しかし、Flat Information Displays Conference 2004に参加した各テレビメーカー幹部の話によると、来年から薄型ブラウン管テレビが市場に出まわることになり、しかも薄型平面テレビと比べてかなり安い価格になるという。
薄型ブラウン管テレビへの流れは、薄いテレビを求めていながら、現時点では薄型平面テレビが高すぎて手が出せないという消費者を惹きつけるものとなるだろう。
Samsung Electronicsでも来年、薄型ブラウン管テレビの発売を予定していると、同社米国法人の Jim Sanduski(ビジュアルディスプレイグループ、バイスプレジデント)はいう。同社は来年第1四半期に韓国市場で30インチモデルの販売を開始する。このテレビが米国市場に投入されるのは、来年中頃になりそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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