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東大 坂村教授、「組み込みエンジニアが報われる仕組み作りを」

2004/07/08 14:53
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 携帯電話などの組み込みOSとして幅広く使われているTRON。今年20周年を迎えたTRONプロジェクトのリーダーである東京大学教授の坂村健氏が、リード エグジビション ジャパン主催の「組込みシステム開発技術展」にて今年も基調講演に立った。組み込みエンジニアで満席となった会場で坂村氏は、技術者たちにエールを送りつつ、組み込みシステムのための標準プラットフォームT-Engineをアピールした。

 坂村氏は、多くのIT技術者のなかでも組み込みエンジニアは「大変であるにもかかわらず給料が割に合わない」と述べる。この状況を打破するために同氏は、組み込み製品におけるミドルウェアの流通性を高め、「100年間使えるソフト」の実現をめざして2002年6月にT-Engineフォーラムを結成した。現在同フォーラム参加企業は420社で、坂村氏は「今年中に500社を超えるのは確実」という。

 T-Engineフォーラムの活動は海外にも広まりつつあると坂村氏。昨年11月にシンガポールで海外初のT-Engine開発拠点を開設したほか、現在韓国のソウルや中国の北京においても開発センターの設置を進めているという。「韓国には組み込みプログラマの協会もあり、TRONの研究についても熱心だ。中国の北京大学にはTRONを教える講座も存在し、T-Engineを卒業論文の課題とする生徒もいる。TRONについて書かれた優れた英語の教科書も世界で数多くあり、それを日本語に翻訳したいほどだ」と坂村氏は述べ、海外の組み込みエンジニアが力をつけてきていると指摘する。

 「(国内では)組み込みエンジニアがうまく評価される仕組みが整っていないように思える。そのため優秀なエンジニアがなかなかこの業界に入ってこない。T-Engineで開発環境を整え、少しでも優秀な人間に組み込み技術に取り組んでもらいたい」(坂村氏)

 T-Engineは、T-EngineハードウェアとリアルタイムOSのT-Kernelで構成される。ミドルウェアの流通を促進するため、「OSを安定させなくてはならない。つまりT-Kernelが機能的バージョンアップを行うことはない」と坂村氏。OSを安定させ、長期間使えるソフトウェアができることで、エンジニアの苦労も報われるというわけだ。

腕時計型のICタグ読み取り機を披露

腕時計型ICタグ読み取り機を披露する坂村健氏

 「小さいものを作るのが好き」という、組み込みエンジニアの代表格ともいえる坂村氏は、これまでにもICタグを読み取って情報を表示できる「ユビキタスコミュニケーター」や、ICタグとバーコードの読み取り機能を搭載したPHS「UC-Phone」などを開発している。今回のイベントでは新たに、ユビキタスコミュニケーターと同様の機能を持った腕時計を装着して登場、「現時点では少し重いが、通常の腕時計の機能も果たし、ウェアラブルコンピュータのように格好悪くもない」と笑う。

 坂村氏が公開した通信機能付き腕時計は、18mm×24mmのディスプレイを持ち、ICタグから読み取った情報を画像表示できるようになっている。ユビキタスコミュニケーターやUC-Phoneと比べると随分小型で、現在は電池を除いて約100gという重さも、開発が進めばさらに小型化・軽量化が望めるだろう。

 研究者である坂村氏は、「(お金儲けのためではなく)今後も最高のシステムを作るためだけに研究を続ける」という。「料理店で例えると、自分が食べたいものを作っているだけだ」と同氏は述べ、今後も組み込み業界に貢献し続ける意志を明確に示した。

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