Kaspersky Labs Japan(カスペルスキー)とジャストシステムは9月7日、総合セキュリティソフトの最新版「Kaspersky Internet Security 2011」(KIS 2011)とウイルス対策ソフトの最新版「Kaspersky Anti-Virus 2011」(KAV 2011)を9月17日から販売することを発表した。
最新版には、ユーザーなどから寄せられるデータをもとにマルウェアかどうかを評価するレピュテーション技術を活用している。前々版のレピュテーションではファイルをダウンロードする段階でファイルが安全かどうかを判定。前版ではアプリケーションを実行する段階でそのファイルを判定していた。
最新版のレピュテーションでは、ウェブサイトに接続する段階で接続先のウェブサイトが安全かどうかを判定することができるようになっている。この「セーフサーフ」の機能では、URLフィルタリングを定義データベースとともに、Kasperskyユーザーで構成されるネットワーク「Kaspersky Security Network(KSN)」でのレピュテーションが活用されている。
また最新版では前版から搭載されている仮想化技術を強化している。前版ではアプリケーションとブラウザを仮想化してユーザーのPCを保護していたが、最新版ではデスクトップの仮想化を図っている。
この技術を活用すると、オンラインバンキングを利用する際に、仮想化されたブラウザが自動で立ちあがり、キーワード入力情報を第三者に送信する“キーロガー”がPCに仕込まれていても、オンラインバンキングでの入出力情報はキーロガーに流れることがないという。強化された仮想化技術について、マーケティング本部の長門慶悟氏は「夢の中で浮気しても奥さんに怒られない技術」と表現している。
また最新版には「ジオフィルタ」と呼ばれる機能を搭載。これはトップレベルドメイン(TLD)で国ごとにフィルタリングするものだ。中国や東欧、ロシア、ブラジルなど接続するには危険とされる国のウェブサイトへの接続を禁止することができるとしている。新機能としては「システムウオッチャー」も搭載されている。システムのログを記録し続けることで、万が一悪意のあるファイルが実行されてシステムが改竄されても、ロールバックすることでシステムを安全にすることができるという機能になる。
KIS 2011にだけ搭載される「ペアレンタルコントロール」も強化されている。子どもには好ましくないウェブサイトへの接続を遮断するほかに、利用可能なアプリケーションを制限したり、ダウンロードしたファイルの記録を取ったりといったことが可能になっている。インスタントメッセージング(IM)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などの利用を制限するといったこともできるようになっている。
長門氏は、最新版では前版よりもリソース消費を削減できていると説明。ウェブサイトに接続する時には前版の半分程度のリソースで稼働するという。最新版は「ユーザビリティが改善されているが、ユーザーにとってはソフトのパフォーマンスもユーザビリティのひとつであり、気になるところ」(長門氏)としてパフォーマンスの改善を図ったとしている。
KIS 2011の価格はパッケージ版が7140円、ダウンロード版が6279円。KAV 2011の価格はダウンロード版が4400円となっている。いずれも1年更新でPC3台までインストールできる。
最新版を販売するにあたりカスペルスキー代表取締役社長の川合林太郎氏は「現在は脅威が複雑化しているが、ユーザー保護がわれわれの第一のミッション。サイバー犯罪の被害者が最後の1人になるまで活動を続けていく」と意気込む。また同社は売り上げ拡大のため「販売チャネルを広げていく」として、9月28日に個人向けに直販サイト「カスペルスキーストア」を開設することを発表している。
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