EMCジャパンは6月10日、ミッドレンジストレージ製品「EMC CLARiX」および「EMC Celerra」の3つの新機能と、両者を統合的に管理できる新管理ソフトウェア「EMC Unisphere」を発表した。
EMCでは、ミッドレンジ製品であるCelerraを「ユニファイド・ストレージ」と位置づけ、1台のストレージでブロックI/O(FC-SAN/iSCSI)とファイルI/O(NAS)の両方の機能を提供し、仮想化に適した柔軟なI/Oの拡張性を実現している。今回発表された「FAST Cache」「サブLUNの自動仕分機能」「ブロック・データ圧縮」の3つの新機能は「クラウド時代のミッドレンジ分野の新機軸を開く」とされ、従来は相反する要素と考えられていた性能向上と容量効率の向上を同時に実現する「徹底効率化」のための機能向上となる。
まず、2009年12月に第1世代が発表されたEMC FAST(自動階層化:Fully Automated Storage Tiering)の新バージョンと位置づけられるサブLUNの自動仕分機能は、高価で小容量だが高速なフラッシュドライブ(SSD、EMCではEnterprise Flash Drive:EFDと呼ぶ)、次いで高速でSSDよりは大容量だがやや高価なFC HDD、安価で大容量なSATA HDDの3つのストレージ階層に対し、データへのアクセス状況を分析し、自動的に適切な階層へデータを移動する機能だ。従来のFASTがLUN単位での移動だったのに対し、今回から1GBサイズのデータ・ブロック単位での再配置が可能になった。
次に、FAST CacheはSSDをキャッシュとして使用するものだが、最上位機種であるSymmetrixをも超える最大2TBという大容量に対応した点が特徴となる。サブLUNの自動仕分機能が、あらかじめアクセスパターンが分析済みのデータに対しての最適化技術であるのに対し、FAST Cacheは突発的に生じたアクセスなどをリアルタイムで高速化でき、異なる状況に対応する技術と位置づけられる。詳細説明を行なった同社のテクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューション統括部 シニア・プロダクト・マネージャの雨堤政昭氏は、「Microsoft SQL Serverを使ったDB環境での例では、単にFAST Cacheを使うだけでユーザー数/トランザクション数が共に2倍になった」という例を紹介し、高度なチューニング作業やアプリケーション側の変更などを伴わずに簡便に大幅な性能向上が可能になるとした。
ブロック・データ圧縮は、アクセス頻度が低いなど、性能面での要求が低いデータに対して圧縮を行なうことで容量を節減する機能となる。データの読み出し時には圧縮データの伸長処理が行なわれるため多少のパフォーマンス低下があり得るが、書き込み時にはリアルタイムでの圧縮は行なわず、後に低負荷時などを見計らって圧縮処理を実行するという。ストレージ側の機能として圧縮/伸長が行なわれるため、アプリケーション側には一切影響を与えない点もメリットとなる。
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