Twitterの最高経営責任者(CEO)であるDick Costolo氏は、サンフランシスコで開催された「Online News Association」カンファレンスにおける、コロンビア大学ジャーナリズム大学院のEmily Bell教授との基調インタビューのなかで、同社は年内にユーザーが最も待ち望んでいる機能を実現するつもりである、すなわちユーザーのこれまでのツイートすべてをダウンロードできるようにすると述べた。
この発表は、多くのTwitterユーザーに歓迎されるに違いない。しかし、Twitterアプリ開発者の間で高まっている不満や、彼らをいらだたせているAPI利用ルールの変更に対するCostolo氏のコメントの方がより重要と言えるかもしれない。
ここ数週間、Twitterアプリ開発者の多くが、API利用ルールの変更によってアプリの内容が制限されるようになったとの不満の声を上げている。こういった不満は米国時間9月20日、IFTTTの主張によってさらに高まることとなった。IFTTTは、特定のTwitterユーザーのツイートを自動的にリツイートしたり、新たなフォロアーに対してお礼のダイレクトメッセージを送るといった「レシピ」をユーザー側で作成できるようにするサービスを提供しているものの、API利用ルールの変更によって主要サービスが提供できなくなるのだという。IFTTTのCEOであるLinden Tibbets氏はユーザーに宛てた手紙のなかで、TwitterのAPI利用ルールの変更により9月27日以降、「ツイートを電子メールやEvernote、Facebookなどにプッシュする」ユーザー機能を無効化すると述べている。
しかしCostolo氏はこの主張に対して、IFTTTによる不満の申し立てはまったく根拠がないとして、聴衆を前に反論を展開した。同氏は「ここで偉そうなことを述べる気はまったくない」と述べたうえで、「とは言うもののこれは、(まるで)『宿題ができなかったのは、TwitterがAPIの利用ルールを変更したからだ』と言い訳するようなものだ。IFTTTによる(Twitterをトリガーにする連携の)停止という行為は、API利用ルールがどういったかたちに変更されようとも、その変更とはまったく何の関係もない。完全に無関係だ」と述べた。
この1週間、Costolo氏は公の場での発言が続いている。そしてCEOとして公の場で行った3回の発言に共通するものがあるとすれば、それはサードパーティーの開発者が作成できるアプリをTwitterが支配するという断固たる決意である。また、Twitterのクライアントを作り上げてきたサードパーティーの開発者の多くは、アプリの内容に制限を課す今回のルール変更に憤慨しているだろうが、Costolo氏はTwitterの最近の取り組みが、1億4000万人というユーザーを抱える同サービスの価値を高めるためのものだと強く主張している。
Costolo氏は同日、「(われわれの)APIを使ってビジネスを成功させている開発者は世界中にたくさんいる」と述べ、「サードパーティーの開発者がTwitterに(開発の成果物を)組み込み、われわれの配信エンジンからあらゆる付加価値を得たり、またTwitterにも付加価値を提供できるようなプラットフォームを構築する」とした。
同氏はこの思想についてより詳細に説明している。同氏はTwitterが育てようとしている、自身の言うところの「増大」作用の例を概説した。同氏は、National Basketball Association(NBA)のコミッショナーが将来的にはTwitterユーザーにオールスターゲームの最優秀選手(MVP)を選ばせたいという意向を近頃示唆したことを紹介し「あるツイートのすぐ横に投票(システム)があったらすばらしい」と述べた。
Costolo氏はまた、Twitterがリアルタイムのアップデートや情報を潜在的にサポートできることも示唆した。「このことについては考えることがある・・・サードパーティーがTwitterに組み込むことのできる、(開発者やユーザーに新しいメリットを提供できるような)すばらしい機能はたくさんある」と同氏は述べた。「これがわれわれの目指す汎用フレームワークだ」(Costolo氏)
Costolo氏の説明は確かに筋が通っている。しかし同氏は慎重になり、Twitterが開発者、なかでもTwitterクライアントの開発者に対し、APIアクセスの制限を設けたもう1つの差し迫った理由を説明しなかった。その理由とは、ユーザーのTwitterの利用方法をなるべくコントロールし、サービスの広告収入を占拠したいというものだ。
しかし、同氏は聴衆からの質問に答える中で、開発者コミュニティに理由を説明する「仕事を怠った」ことを認め、誤解を解きたいという素振りを見せた。だが、その一方で聴衆(や、遠方から見守る人たち)に対し、2012年は「これ以上、開発者のアクセスを抑制、制限するようなことはしない」と念を押した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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