グーグルは6月7日、地図情報サービス「Google マップ」が7周年を迎えたことを記念して、「Google マップの進化と未来」と題する記者発表会を開催。これまでGoogle マップに実装されてきた数々の機能やそれらを支える技術、また米国時間6月6日に発表された新機能などを紹介した。
2005年2月に米国でサービスを開始したGoogle マップ。日本では2005年6月に「Google Earth」が公開され、同年7月にGoogle マップが開始された。2006年時点で37%だった世界におけるエリアカバー率は、現在75%まで拡大。2011年11月末には、駅構内や空港といった屋内を閲覧できる「インドア Google マップ」もリリースされた。
さらに、人の目線の高さで街や施設を360度見渡すことができる「ストリートビュー」機能を実装。原爆ドームやコロッセオといった世界遺産のほか、アマゾン川や南極大陸など旅行でもなかなか行くことができない地域もサポートしている。
Google マップを担当するグーグル ソフトウェアエンジニアの後藤正徳氏によれば、ストリートビューは現在39カ国をサポートしており、撮影のためにストリートビューカーで走行した距離は800万キロメートルにおよぶという。また、こういったストリートビューや航空写真などのデータ量の合計は20ペタバイト(2000万ギガバイト)におよぶそうだ。
同社ではこれまでストリートビューの撮影のために、自動車やスノーモービル、ボートなどさまざまな機材を使用してきたか、新たに人が背負うリュックにカメラを搭載した「トレッカー」を発表。これにより、登山道など車では入れない地域もカバーできるようになるとしている。
米国時間6月6日に発表されたモバイル Google マップの「オフラインモード」と、モバイル版Google Earthの新たな3D技術についても語られた。
オフラインモードは、モバイル Google マップで事前に目的の地域の地図データをキャッシュすることでオフライン環境でもマップを利用できる機能。ロンドン、シドニー、ニューヨークなど100カ国に対応しており、Androidスマートフォン向けに6月末にもサービスを開始する予定だ。
ただし、ダウンロードできるのはグーグルが独自に作成した地図に限られるため、他社から地図情報の提供を受けている日本の地図は現時点でダウンロードできないという。同社では、当初は海外旅行などの際にこの機能を活用してほしいとしている。
7年間で10億回以上ダウンロードされているというGoogle Earthは、新たな3Dレンダリング技術を利用することで、より高精細で再現性の高い3Dマップを実現した。同社では、航空写真から3D画像を抽出する作業を自動化しているが、「この技術をさらに高度化できないかと、さまざまな技術革新をこの5年間、日々たゆまず行ってきた」(グーグル プロダクトパートナーシップ本部マネージャの村井説人氏)という。
従来のGoogle Earthでは、ビルがない場所などは立体的でなかったり、つぶれてしまっていることもあったが、新技術ではビルだけでなく、道路や崖、海といった地形の3D化にも成功している。AndroidとiOSに対応しており、グーグルでは数週間のうちに複数の主要都市を同機能に対応させる予定としている。
発表会の終わりにグーグル製品開発本部長の徳生健太郎氏は、「(Google マップは)この7年でかなりの進化を続けてきた。今日紹介した新技術などを通じて、地球上の情報をなるべく忠実な形で再現し、その膨大な情報量を整理して、ユーザーに最も分かりやすい形で提供していく。このチャレンジは7年経った今でもまだまだ際限のないものだと考えている」と語り、今後もGoogle マップの利便性を高めていくとした。
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