非営利組織であるMozillaは、Microsoftに対し、ARMプロセッサ搭載端末向けにMicrosoftが提供予定のOS「Windows RT」上で「Internet Explorer」以外の本格的なブラウザが動作することを許可するように強く求めているが、Googleが今回、この動きに対する支持を表明した。
Mozillaは、Windows RT向けに競合する「Firefox」のバージョンを開発できないようにしているとして、Microsoftの決断に反対している。「Internet Explorer 10」(IE10)以外のブラウザがIE10と同じOS機能にアクセスできないというこの状況は、これまでにもあったブラウザを巡る争いを思い出させる。かつてはこの争いが、最終的には米国および欧州において政府を巻き込んだ独占禁止法違反訴訟にまで発展した。
今回この争いに、「Chrome」ブラウザを開発するGoogleが加わった。同社は次のように述べた。
ユーザーの選択とイノベーションを制限する「Windows 8」の環境についてMozillaが示した懸念を、われわれは支持する。われわれは、すべてのプラットフォームにわたるブラウザ分野のイノベーションを常に歓迎しており、優れた競争相手の存在がわれわれすべてのさらなる努力につながると強く信じている。結局、健全な競争によって最も恩恵を得るのは、消費者と開発者である。
これまでにも数々のブラウザを巡る争いに参戦してきたMozillaを決して軽視するわけではないが、Googleの支持を得たことによって、Mozillaの影響力はかなり強化される。
Microsoftは、Mozillaの見解に対するコメントを避けている。
厳密に言えばMozillaは、Windows 8の新インターフェース「Metro」向けに、Firefoxのバージョンをリリースすることはできる。実際にMozillaは、x86チップを採用するより従来型の「Windows 8」搭載PC向けに、Firefoxを開発中である。しかし、Windows RT上ではブラウザに制約が課されると、Mozillaの広報を担当するAsa Dotzler氏は述べた。
Dotzler氏は米CNETに対し、「Microsoftにはまず、ARM版Windows上において『クラシック』モードで動作するブラウザがある。Microsoftはわれわれに対し、クラシックモードでブラウザを動作させるためのそれと同じアクセスを許可していない。2つめに、Microsoftには、ARM版Windows上においてMetroモードで動作するブラウザがある。こちらは豊富なAPIにアクセス可能だが、同社は、ARM版Windows上においてサードパーティーのMetro向けブラウザがそれらのAPIにアクセスすることを禁止している」と述べた。「つまり、われわれは、クラシックモードで動作するブラウザを提供することを禁止され、また、Metro上で競合するブラウザを開発することも禁止されている」(Dotzler氏)
Dotzler氏は自身のブログに2件の投稿(1件目および2件目)を公開して問題の詳細を述べている。また、Mozillaのゼネラルカウンセルを務めるHarvey Anderson氏も、ブログ投稿およびインタビューで懸念について詳しく述べている。
Anderson氏は、米CNETに対し、「彼らは、ユーザーの選択肢や競争、イノベーションを拒否する新しいバージョンのOSを作ろうとしている」と述べた。「IEをそのプラットフォーム上における唯一のブラウザにすることは、Windowsプラットフォーム上でブラウザが1つかなかったデジタル暗黒時代への完全なる回帰だ」(Anderson氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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