KDDIは1月26日、2012年3月期第3四半期(4~12月期)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比2.9%増の2兆6454億1200万円、営業利益は同3.3%増の3842億2700万円、経常利益は同4.3%増の3646億7100万円、純利益は同4.1%減の1943億5400万円となった。
移動通信事業におけるシンプルコース浸透にともなう音声ARPU(1契約あたりの月間平均収入)が減少したものの、端末販売収入や固定通信事業におけるグループ会社の収益拡大により増収となった。
利益面では、固定通信事業におけるネットワークスリム化施策などにより営業費用が減少したことで、営業利益と経常利益が増加。純利益については、2011年12月2日に、法人税引き下げに関する法律が公布されたことで、繰延税金資産の取崩しが発生し、法人税などの調整額が増加したため前年同期と比べて4.1%の減益となった。
第3四半期のスマートフォンの販売台数は163万台で、第1四半期からの販売台数合計は354万台となった。端末販売台数に占めるスマートフォンの販売比率は50%に達している。また、上期はスマートフォンの販売全体のうち約2割が新規契約だったが、2011年10月に発売した「iPhone 4S」の新規契約率は3割に上るという。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、通期のスマートフォン販売目標として555万台を掲げる。
その他、移動通信事業では解約率が過去最低の0.56%と大幅に低下したほか、MNPは9四半期ぶりに純増に転換した。なお、第3四半期のMNP純増数はKDDIがトップとなっている。固定通信事業でもFTTHの増収やネットワークコストの削減が大きく貢献し、通期見通しを上回る増収となった。
田中氏は第3四半期について「基盤事業の立て直し完遂に向けた順調な決算だった」と評価。通期は、スマートフォン販売台数の上方修正にともない、期初見通し比900億円の増収になるとした。
これまでKDDIのビジネスモデルは、モバイルを核とした回線獲得モデルが中心となっていたが、田中氏は「そろそろゲームチェンジをしてもいい時じゃないかなと認識している」とコメント。
今後は、移動通信と固定通信を融合させた“FMC ARPU”と、事業者決済手数料とコンテンツARPUによる“バリュー(付加価値)ARPU”を組み合わせたビジネスモデルに変革すると話し、3M戦略の第1弾となる「スマートパスポート構想」によって、FMC+バリューARPUの最大化を図りたいとした。
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