米国時間12月1日、モバイルデータを収集するソフトウェア「Carrier IQ」に関する議論が拡大した。米上院議員が注意を呼びかけ、AppleやVerizonなども自社の立場を釈明したが、同ソフトウェアの挙動については不明なままだ。
Android開発者Trevor Eckhart氏は11月、Carrier IQソフトウェアが端末利用と位置情報を開発元に送信していると報告した。そして今週、同氏が自分の主張を説明するためのビデオを公開したのに続き、同ソフトウェアが「iPhone」にも見つかったという別の報告が明らかになった。
Appleは1日、「iOS 5」を11月に公開してからはCarrier IQを使っていないことを明らかにした。同社は、米CNETへの声明で次のように述べている。
われわれは、当社のほとんどの製品で『iOS 5』によるCarrier IQのサポートを止めており、今後のソフトウェアアップデートで完全に削除する予定である。Appleに送信されるすべての診断データについて、その情報を共有するには顧客が自主的にオプトインする必要があり、顧客がオプトインした場合、データは匿名かつ暗号化された形式で送信され、それに個人情報が含まれることはない。われわれは、キーストローク、メッセージ、その他の個人情報を、診断データのために記録したことは一切なく、今後もそうするつもりはない。
「BlackBerry」メーカーResearch In Motionは、Carrier IQを自社デバイスにプレインストールしたことも、キャリアにそうすることを認めたこともない、と米CNETに述べた。
RIMは、「CarrierIQ」と呼ばれるアプリケーションが端末利用者に無断で、もしくは了解を得ずに複数のベンダーの携帯端末にインストールされていた、というセキュリティ研究者による最近の訴えを認識している。RIMは、BlackBerryスマートフォンにCarrierIQアプリをプレインストールしておらず、キャリアパートナーによる販売および配布前のインストールも認めていない。また、同アプリの試験、宣伝、配布にも関与していない。RIMは、CarrierIQに関する報告および憶測を今後も調査する予定だ。
スマートフォンメーカーHTCの反応は一歩踏み込んだものとなっており、Carrier IQを「デバイスに搭載するよう多くの米国キャリアから求められている」とAll Things Dに語るとともに、さらなる情報についてはキャリアに問い合わせるよう勧めている。Verizonの広報担当者Jeffrey Nelson氏は、「Verizon Wirelessは、Carrier IQを自社端末に加えていない。VerizonがCarrier IQを使っているという報告を目にしているが、それらは誤りである」と米CNETに述べた。
Sprintは、同社がCarrier IQを使って通信の内容を調べていたという、法律上も重要な点について否定する声明を配布した。しかし、同ソフトをどのように設定していたかは明らかにしなかった。
Carrier IQは、自社のネットワークパフォーマンスを分析したり、サービスの改善点を特定したりするための情報をSprintや同ソフトウェアを利用する他の事業者に提供している。データは、問題が生じた場合に対応できるように端末のパフォーマンスを理解するためにも使用している。当社のネットワークにおける端末に対する顧客体験と、接続の問題があった場合にそれに対処する方法を理解するために十分な情報を収集しているが、このツールを使用して、メッセージ、写真、動画などのコンテンツを見ることはしていないし、できないようになっている。収集した情報を売ったり、このデータの直接的はフィードをSprint社外に提供したりすることはない。
AT&Tも同様に、「無線ネットワークおよびサービスパフォーマンスの向上」を目的としてCarrier IQを使用していたことを認めたが、「プライバシー方針に基づき」実施したと述べた。
MicrosoftのWindows Phone 7製品チームのJoe Belfiore氏は、「Windows PhonesはCarrierIQを搭載していない」とTwitterで述べた。
米上院でプライバシーに関する委員会を率いるAl Franken上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は1日、書簡(PDF)をCarrier IQに送付し、どのようなデータを収集および送信しているのか、そして、盗聴を禁止する米連邦プライバシー法に自社ソフトウェアが準拠していると考えるか、などの質問を投げかけた。Franken上院議員は、回答期限を12月14日としている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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