NEC、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学、パナソニック電工、クルウィット、財団法人日本データ通信協会、KDDI研究所、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は11月26日、インターネットでのサイバー攻撃源を逆探知するトレースバック技術を開発したと発表した。また、実際に稼働中のインターネット環境で逆探知実験をし、有効性と実用性を実証したとしている。
不正アクセスなどのサイバー攻撃は発信源が隠蔽、詐称されていることが多い。IPアドレスが詐称されている状態で攻撃元を特定するには、どこからどのような経路で通信がなされているのかを把握する必要がある。また、ISPごとにセキュリティポリシーやプライバシーポリシーが異なる状態で、通信の秘匿性を確保する必要もある。
今回開発したのは、(1)サイバー攻撃に関連するパケット情報を匿名化するなどして、通信の秘匿性を確保しながら、そのパケットの痕跡をたどっていく技術、(2)膨大な痕跡の中から追跡すべきパケットの情報を効率良く探し出し、迅速に対応できる技術、の2つ。また、複数のISP間で協力するためには、運用面や制度面での課題があることから、これらを考慮したシステム構成や運用手順も策定した。
今回の実証実験では、北海道から沖縄まで全国に所在する15社のISPの協力により、発信源のIPアドレスが詐称されたパケットによる模擬サイバー攻撃を発生させ、逆探知に成功した。実インターネット環境において、このように複数のISPにまたがるトレースバック実験は海外においても例がなく、世界で初めての試みとのこと。今回の技術により、発信源への迅速な対処が可能になるとともに、サイバー攻撃に対する大きな抑止効果も生まれるとしている。
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