オーストリアのセキュリティ企業であるPhionは現地時間11月20日、「Windows Vista」の脆弱性を発見したと発表した。これを利用すると、攻撃者がVistaを搭載するPCにルートキットを潜ませたり、サービス拒否(DoS)攻撃を仕掛けることが可能になる。
この脆弱性は、PhionのThomas Unterleitner氏らによって発見された。同氏が21日、ZDNet UKへ述べたところによると、Phionは10月にMicrosoftへこの脆弱性を報告している。だが、Microsoftが次のVistaサービスパックにこの修正を含めるという対応にとどめるだろうと、同氏は理解している。
Unterleitner氏の報告によると、この脆弱性はVistaのネットワーク入出力サブシステムに存在している。「iphlpapi.dll」のAPIに送られた特定のリクエストにより、Vistaのカーネルメモリを破損させるバッファオーバーフローが生じる。その結果、OSに深刻な障害をもたらすクラッシュに至る。「このバッファオーバーフローは、攻撃者が悪意のあるコードを送り込むことにも利用され、クライアントのセキュリティが危険にさらされる可能性がある」と同氏は述べる。
Unterleitner氏がZDNet UKへ送った電子メールで記すところによると、「この脆弱性は、DoS攻撃でPCをシャットダウンするために利用される可能性がある」という。また同氏は、この脆弱性の悪用はVistaの「Netio.sys」のコンポーネントで起こるため、攻撃者がルートキットを潜ませる可能性があると示唆する。
Unterleitner氏と彼の同僚たちは、サンプルのプログラムを使用し、「Windows Vista Enterprise」と「Windows Vista Ultimate」の32bitと64bitのバージョンがこの脆弱性の影響を受けることを解明した。Microsoftの他のOSも影響を受ける可能性が「非常に高い」という。「Windows XP」は影響を受けない。
Unterleitner氏はこの脆弱性の深刻度に関し、バッファオーバーフローを起こす機能を呼び出すプログラムを実行するためには、管理者権限が必要だと指摘する。とはいえ、同氏は、未確認だとした上で、攻撃者が「管理者権限を用いずに脆弱性を悪用するため」不正な形式のDCHPパケットを使用する可能性があると記す。
同氏は「われわれは10月から、この脆弱性を特定して分類し、修正を施すため、ワシントン州レドモンドのMicrosoft Security Response Centerと一緒に作業してきた」と記し、「Microsoftは次回のVistaサービスパックで、この脆弱性を修正する予定である」と続けた。
Microsoftは11月21日、ZDNet UKに対して、同社がこの脆弱性をこれまで調査してきたと述べたが、「現在、この脆弱性を利用した攻撃および、ユーザーへの影響は確認していない」としている。しかし、同社が、これから発表する2番目のVistaサービスパックにこの問題の修正を含めることと、このサービスパック発表の日時を確認することはできなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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