ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」の会員数が4月14日に2000万人を突破した。2004年2月のサービス開始から6年。節目の数字に到達した。「ゆくゆくは3000万、4000万人を目指したい」とミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏は語る。これまでのmixiの歩みを記事とともに振り返ってみた。
2000万人という数字は、たとえばオーストラリアやルーマニア、スリランカなどの人口と同規模。日本の携帯電話キャリアの加入者数と比べると、ソフトバンクモバイル(約2187万人、2010年3月末)に近い。
そんなmixiも最初は運営会社のミクシィ(当時イー・マーキュリー)社内のメンバー間で招待しあうところからスタートした。ID取得第1号はmixiを開発した衛藤バタラ氏。笠原氏は第2号ユーザーだった。
外部にサービスを告知したのは2004年3月3日。同日、CNET Japanにも初めてmixi関連の記事が掲載された。記事ではmixiをこう紹介した。
mixiは、直感的に人との繋がりが理解できるエンターテインメントコミュニティを目指すサイト。特徴的なのは、出会いを『招待』による参加に限定している点だ。従来のソーシャルネットワーキングサイトでは、何らかの共通の興味や目的を持つユーザーの出会いを提供していたが、mixiは知らない人同士が接触するのではなく、すでに知っている人と旧交を温め、さらにその知人を通じて新しい知りあいを得ることにより、知らない人同士の出会いによる危険を回避するよう設計されている。
2010年3月からは登録制も併用しているが、当時はmixiといえば「招待制」だった。すでに知っている人と旧交を温めるというサイト設計はいまも変わらない。これこそが「ソーシャルネットワーキングサービス」の定義であると笠原氏は折に触れて語っている。
mixiの会員数は順調に伸びた。2004年7月に5万人を超え、2カ月後の9月には10万人を突破。11月25日には20万人を突破した。2004年はおよそ2カ月間で10万人ずつ増加するペースだった。
2005年1月には30万人を突破。4月に会員数が50万人を超え、わずか4カ月後の8月にはついに100万人を突破。サービス開始から17カ月2週間というハイペースだった。年末までにさらに倍増し、200万人を突破した。最初の100万人に到達するまでには17カ月と2週間を要したが、次の100万人は4カ月と1週間。約4分の1の期間で達成した。
2006年1月、イー・マーキュリーは社名を現在の「ミクシィ」に変更し、mixiを中核事業に位置づけることを発表した。すでに会員数は250万人。1日あたりのページビューは1億PVを超えていた。
2月、社名が変更されたタイミングで笠原氏にインタビューした。「サービスを続々と投入する新生ミクシィのこだわり」という記事で、mixiの収益構造、IPOの予定、競合のグリーをどう見ているかなどの質問に笠原氏が答えてくれた。
3月には会員数が300万人を突破した。2005年12月6日に200万人を突破してから、300万人まで増加するまでの期間は84日間。成長のスピードは止まらなかった。
9月14日にはついに東証マザーズに上場。市場の注目度は高く、上場初日は値が付かなかった。ミクシィは一気にマザーズ市場のリーダー格となった。新規上場から2日目の9月15日、朝方に付けた初値は295万円だった。
同時期、笠原氏にmixi開発秘話を聞いた。そのインタビュー記事によれば、2003年夏から新サービスの検討を始め、同年10月には「SNSをどうしてもやりたい」という気持ちが固まっていたという。
CNET Japanはmixiの企画書の写真も独占入手した。企画書には「バタラさん、笠原やる気まんまん」と書かれており、両氏が当初から積極的にmixiを開始したいと考えていたことがわかる。プロトタイプの画面なども掲載した。
2007年1月にはmixiの会員数が800万人を突破した。これは20代前半人口の約3分の1が利用している計算だった。さらに携帯電話向けサービスである「mixiモバイル」の1日あたりのPVは1億を超える規模に成長した。
5月にはついに1000万人に到達。2004年2月にサービスを開始して以来、3年3カ月での達成だった。
ミクシィは8月に神宮前の新オフィスに移転した。ミクシィのオフィス内部の様子は、CNET Japanのレポートで初めて公開された。
2008年7月には、会員数が1500万人を超えた。笠原氏は「サードパーティーが、『mixi』の中で自由にアプリケーションを構築・運営できるようなプラットフォームを構築することで、引き続きユーザー数の拡大を目指していきたい」とコメント。1年後に登場することになるmixiアプリを、今後の成長の柱に据える考えを示した。
2009年はmixiアプリ一色となった。4月に開催したイベント「mixiアプリ カンファレンス 2009」で笠原氏は、「mixiアプリ開放は過去最大の変革」と演説した。8月にmixiアプリが公開され、mixiがついに「正式サービス」となった。サービス開始から5年、やっとロゴからベータ表記が取れた。
mixiアプリは順調な滑り出しとなり、「サンシャイン牧場」のような人気アプリも多数登場。2008年以降、PV、ユーザー数が伸び悩んでいたmixiの救世主となった。
あらためて笠原氏に会員数2000万人の意味を問うと、次のような答えが返ってきた。
「もともと目指しているのはコミュニケーションのインフラ。より多くの人たちが、仲の良い友だちや家族、同僚、大事な人たちとつながり、豊かなコミュニケーションをとれるようにしたい。そういう意味では1つの区切りとなるが、まだ通過点。もっと多くの人に使ってもらいたい。CyworldやFacebookなど、海外ではその国の人口の半分が利用しているSNSがある。日本でも5000万人くらいが使っても不思議ではない」
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