米Google 運営上級副社長 兼 GoogleフェローのUrs Holzle氏が来日した。Holzle氏は、Googleの社員番号が8番という初期メンバーで、同社初の技術担当副社長としてインフラストラクチャの開発を指揮した経験を持つ。現在Googleのサーバ、ネットワーク、データセンターの設計と運営の責任者を務める同氏が、クラウドコンピューティングについて語った。
クラウドコンピューティングにはさまざまな意味があり、この意味は将来変わる可能性もある。ただ、ここに大きなチャンスがあることだけは確かだ。ソフトウェア開発者としては、アプリケーションをローカルで実行するかクラウドで実行するか選択肢ができることになる。ユーザーはアプリケーションが実行されている場所がどこなのか、知る必要がないからだ。
例えば私は今朝、東京の天気を知りたくて、携帯電話に向かって「Tokyo, weather」と話しかけた。すると、クラウド上のサーバにある音声認識機能が私の音声を処理し、答えを返してくれる。それがクラウド上で起こっているのか私の手元で起こっているのか、私は知る必要がない。実際には、私の手元で電話機が私の音声を録音し、それがクラウド上のサーバに送られて処理され、答えを返してくれているのだが、その課程は知る必要のないことだ。つまり、エンドユーザーのデバイスとクラウドにつながるネットワーク、そしてクラウド上のサービスインフラストラクチャさえあればいいということなのだ。
このような方法は、イノベーションのスピードアップにもつながる。ユーザーがアプリケーションをデバイスに直接インストールする必要がないため、古いレガシーデバイスの互換性を気にして開発する必要がないためだ。
どちらの方法も同時進行するのではないか。今アプリケーションが必要なのは、HTMLでは処理しきれないものがあるためだ。しかしユーザーは、これらのアプリケーションをインストールして使っていても、実際にはインストールしていると意識していないかもしれない。クリックするだけで利用できるためだ。そういう観点からすると、Appleの「App Store」はウェブとあまり変わらない位置づけであり、ウェブページとアプリケーションの境界がなくなりつつあると言える。
また、ブラウザの存在感もなくていいものだ。例えば、デスクトップ上のGmailショートカットをクリックすれば、ブラウザが自動的に立ち上がってGmailにつながるようになっている。この作業は実際にはブラウザを介しているのだが、ユーザーにしてみればメールのアプリケーションを立ち上げたようにも見える。何かをクリックした時にブラウザが立ち上がっているのか、アプリケーションが立ち上がっているのか、ユーザーは意識していないのだ。つまり、ブラウザさえいらなくなるかもしれないということだ。
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