10年後のITを見通す

 会社で、10年後のITはどうなるか?と問われている。「そんなこと、わかるか!」と言いたいが、一応仕事なので考えた。

 10年後の未来を見通すためには、3つの方法があると思う。

1.10年後の主役である今の10代の子供たちを観察する。
2.現在は、まだ小さい現象だが、本質的と思われるものを見抜く。
3.参考になると思われる他業界をスタディする。

 上記1は、周辺に該当者がいないので、今回は見送り。ということで、23を組み合わせて、10年後のITを考えてみた。

 10年後、ITはコモディティになっていることは間違いない。そこで、コモディティの代表である服に注目した。50年以上前は庶民が服を手に入れようとしたら、洋服店かデパートに行った。服は一部の専門家しか作ることができなかったのである。

 その後、ミシンという道具が出現し、自分で服を作ることができる環境になった。しかし、現在ミシンを使う人は珍しい。我が家のミシンも埃をかぶっている。家内によると、ミシンを使わないのは、「お店で服を買うほうが、種類が豊富だし安い。しかも、自分で作る時間もない」ということである。

 ところで、この服の歴史はITの歴史に似ていると思う。メインフレームの時代は、少数の専門家しかコンピューティングパワーを利用す ることができなかった。

 80年代になり、パソコンという道具が出てきて、それなりの意欲と技術があれば、自分でコンピューティングパワーを利用し、アプリやサービスを作ることができるようになった。

 しかし、今ではWebサービスの利用が中心で、自らサービスを作ろうという人は少ない。何故ならば、Webサービスの種類は豊富だし、価格も無料が大半だからである。

 仮に、両者の類似性があるとすると、服の未来が参考になるはずである。そこで、家内に質問した。「今後、ミシンを使わないの?」。家内曰く、「A)もっと服の生地が安くなり、B)簡単に短時間で服をつくることができるようになったら使う。C)だって自分なりの服を作りたいもん」

 そして、ITの未来を考えてみよう。

A)コンピューティング利用コストは、パソコンの低価格化が典型例のように、益々安くなることについては、誰しも異存はないだろう。
B)最近、キーワードは、“クラウドコンピューティング”や“マッシュアップ”である。いずれも、簡単に短時間で、自分の欲するアプリやサービスを具体化する手段である。A)B)も、現在の本質的なトレンドと考えられる。とすると、
C)自分で、本当に欲しい自分なりのアプリやサービスを作ることが出来るようになる。次の大きなトレンドは、キーワードで表現すると、“パーソナライズ”、“プロシューマ”だと考える。

 ただ、ちょっと気になったのが、その後の家内の発言。「私は服を作ることが好きだから、条件が揃えばミシンを使う。だけど、多くの主婦が私と同じ考えとは限らないかもしれない」

 なるほど、未来を見通すのは難しい。

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