eBayは、Tiffany & Co.から訴えられていたものの、米連邦判事は米国時間7月14日、偽造されたTiffanyブランドの商品を摘発するように、eBayに対して強いることはできないとの判断を示した。
ネットオークション業界にとって画期的な判例となりそうだが、米連邦地方裁判所は、商標権保護法を適用して、eBayが個々の出品リストをチェックし、偽造品の疑いがないかを調査するように強制することはできないと述べた。
米連邦判事のRichard Sullivan氏は「ブランドの開発に巨額の資金を注ぎ込んだにもかかわらず、違法な仕方で、しかも効率的にインターネット上でブランドを悪用されてしまうのを見ざるを得ない、Tiffanyや他の商標権保持者に対し、決して法廷は冷たい態度を取ろうとは思っていない。だが、(この件に関して)法律は明白である。商標を守り、管理する責任は、その商標権の保持者に課せられている」と記した。
Tiffanyの顧問弁護士で、Arnold & Porterの専属でもあるJames Swire氏は、もしこの件で、Tiffanyが上訴しようとしないならば、驚きを隠せないだろうと語った。Swire氏は「商標権保護法の目的は、消費者の混乱を未然に防ぎ、商標権保持者を保護することにある。(中略)今回の判決により、この目的が促進されることになるとは信じがたい」と語っている。
現時点では同判決により、eBayや、Amazon.com、Yahoo、Googleなど、オークション出品リストまたは商品検索結果を提供する企業から、巨額の金銭的負担や合法性などの問題が取り除かれることになる。過去数年に渡って、フランスの裁判所は、eBayとGoogleに対し、商標違反による罰金の支払いを命じてきた。6月に出されたある判決では、eBayに、高級ブランド最大手の仏LVMH Moet Hennessy Louis Vuittonへの6100万ドルの罰金の支払いが命じられている。
これは取るに足らない問題ではない。米国土安全保障省(DHS)は、偽造品が米国経済に与える被害総額が、年間2000億ドル以上に達しており、「経済面での世界的流行病」であると評した。偽造品は、米国内で製造されるのかもしれないし、詐欺的な積荷書類を用いて輸入されるのかもしれない。
ニューヨーク南部地区で起こされた訴訟は、eBayでの偽造品販売が許可されるかどうかが争点となっていたのではない(いかなる偽造品の取り引きも、eBayでは許可されておらず、それは犯罪行為として処罰の対象にもなる)。むしろ、争点となっているのは、eBayの出品リストをチェックして、偽造品の摘発を行う費用は、製品メーカーとオークションサイトのどちらが負担すべきかという点である。
すでにeBayは、年間500万ドルを費やし、「レプリカ」や「類似品」といった用語に基づいて、1万3000以上の基準から偽造品の特定を目指す検索エンジンを開発し、運用している。この検索エンジンによって、偽造品の可能性が高いとのマークが付された出品内容は、同社カスタマーサービス担当者の手でチェックが入るようになっている。
さらにeBayは、「VeRO(Verified Rights Owner)」プログラムを提供して、商標権保持者が、不正利用を通報し、出品を取り消すことができるようにしている。Tiffanyは、VeROプログラムに参加している、1万4000以上の企業および個人の一例である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス