財団法人インターネット協会は1月30日、ネット上の違法・公序良俗に反する情報の通報受付窓口「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況と課題をまとめた。
2006年6月から11月までの6カ月間で、ホットラインセンターのウェブページ上の3種類の通報フォームから受理した通報件数は、わいせつ関連や薬物関連、振り込め詐欺関連などの違法情報が1万9195件、公序良俗に反する情報を合わせると2万3728件となった。
受理した通報を「運用ガイドライン」をもとに分析した結果、違法情報と判断した通報は2226件。最も多かったのは「わいせつ物公然陳列(国内471件、海外538件)」、次いで「児童ポルノ公然陳列(国内295件、海外228件)」、「薬物関連情報(国内325件、海外1件)」だった。
違法情報に該当すると判断した通報のうち、224件は警察への通報前にプロバイダなどにおいて自主的に削除。1203件を警察へ通報、そのうちの707件についてプロバイダや電子掲示板の管理者などに対して削除を依頼し、合計644件(約91%)が削除完了となった。
また、公序良俗に反する情報と判断した通報は502件で、最も多かった「違法行為を直接的かつ明示的に請負・仲介・誘引等する情報(国内251件、海外191件)」に分類される情報の多くは、アダルトDVD販売サイトにおける児童ポルノの販売や偽造免許証、パスポートの作成という。
公序良俗に反する情報と判断した通報のうち、63件はプロバイダなどへの通報前に自主的に削除。217件についてプロバイダなどに対して削除を依頼し、150件(約69%)が削除完了となった。
そのほか、運用ガイドライン対象外と判断した通報は2万2127件。通報の多くを占めるワンクリック系の詐欺まがいサイトは対象外となるため、この件数は極端に多くなる傾向があるという。
ガイドライン対象外と判断した通報のうち、123件については名誉毀損・プライバシー侵害情報として法務省人権擁護局へ、36件については知的財産権侵害情報として権利者団体へ情報提供を行った。また、マンガでの子どもポルノについては国際NGO関連団体に12件提供、犯罪防止の観点から必要と考えられる通報については管轄の都道府県警察に23件提供した。
運用における課題として、多くの通報に対処するための体制強化や海外サーバへの移動に対処するための国際的枠組みの必要性のほか、運用ガイドラインがカバーする範囲が限定されているため、通報者の期待に十分応えきれない点を挙げている。
ホットラインセンターは2006年6月、警察庁からの受託により設置し、運用を開始。 利用者からネット上の違法・有害情報に対する通報を受け付け、その情報に対して一定の基準に基づいて判断を行い、警察への通報やプロバイダ、電子掲示板の管理者などに削除依頼などを行う仕組み。
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