テレビ広告の視聴率調査で大手の米Nielsenが、ソニー・コンピュータエンタテインメントと手を組み、ゲーム内広告市場に進出した。ゲームにはまだ手が付けられていない豊かな広告の土壌があるようだ。
千葉県にある幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2007」において、ビジネス向けのセッション"TGSフォーラム"の特別招待セッションとして9月21日、Nielsenのワイヤレス、およびゲーム部門のバイス・プレジデントのJeff Herrmann氏が「“ゲーム視聴率”グローバルブランドが狙うゲームという広告媒体」と題した講演を行った。
2007年7月に人気ゲームのランキングやユーザー層、利用プラットフォームなど、ゲームユーザーの動向を毎月レポートする「GamePlay Metrics」サービスを開始した同社。Herrmann氏は、同社でゲーム視聴率部門のトップを務めている。
調査によると、アメリカ人全体の53%、12〜17歳では5人に4人、18〜24歳では74%がゲーム機器を保有しているという。Herrmann氏は、"DIVO"と呼ばれるデジタルビデオレコーダーの保有率がわずか17%であることを例に挙げ「ゲーム媒体は、広告業界にとっては非常に規模の大きな市場になる」と語った。また、ゲームユーザーの半分が18〜54歳の層であるとし、「購買決定力のあるこの層は、広告マーケティング分野では見逃せないターゲットになる」と付け加えた。
GamePlay Metricsでは、ゲームユーザーがゲームをプレイする時間の長さや時間帯を把握することが可能だ。Herrmann氏が公表したデータによると、「PLAYSTATION 3」(PS3)や「xbox360」などの次世代ゲーム機器のユーザーのゲームプレイ時間は、全体平均の3倍以上になるという。
また、時間帯は例えば12〜17歳では学校から帰宅後の午後5時から利用率が上昇し、18〜34歳では午後10時がピークになるなど、世代ごとに傾向が異なることが明かされた。午後10時台はテレビ業界ではいわゆる「ゴールデンアワー」と呼ばれる時間帯にあたるが、実は広告主がもっともリーチしたい層はその時間帯にゲームをしている、という興味深い分析結果が示された。また、Nielsenの調査によると、ゲームのヘビーユーザーはテレビも見ているという。Herrmann氏は「彼らは時間がシフトしているだけ。どのメディアにするかというのをそのときに選んでいるにすぎない」と説明した。
米Nielsenは、ソニー・コンピュータエンタテインメントの米国法人Sony Computer Entertainment America(SCEA)と提携し、2007年7月からゲーム内広告の測定システムの開発も行っている。Nielsenは、SCEAから提供を受けた、PS3や「PLAYSTATION Network」で収集したゲームネットワークに関するデータとNielsenのデータを統合し、ゲームユーザーの挙動などを分析しているという。
Herrmann氏は「このシステムにより、もっと競争力ある広告プラットフォームができると思う。ROI(費用対効果)を広告主にきちんと提供できるようなシステムを目指している。広告業界では、18〜34歳は動向が把握しにくい層とされ、どうやったらリーチできるかの試行錯誤がなされている。媒体としていろいろな選択肢があるが、そのなかでもゲームがいちばん新しいプラットフォームになる。ゲーム広告へのニーズは、媒体効果をきちんと測定することで高まっていくはず。マーケット自体もこれで伸びていくと思う」と、同社の取り組みの重要性を強調した。
さらに「次世代ゲーム機は、インターネット、音楽、ビデオ、ショッピングなど、いろいろなマルチメディアのハブとして使うことができ、そうした部分にも広告は有効に使える。現在、Microsoftとソニーがマルチメディアのハブを巡って熾烈な戦いをしているが、ハードメーカーはセンサーなど、いろいろと(拡張機能を)用意しておけばチャンスも広がるだろう」と、ゲームプラットフォームの展望が語られた。
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