LiveJournalの運営会社が最近、セックスをテーマにしたさまざまなディスカッショングループを検閲する決断を下したことに対し、多数のユーザーが反発している。削除対象は文学批評やハリー・ポッター関係のファンが作ったフィクションにまで及んでいる。
サンフランシスコに本社を置くSix Apartが所有するLiveJournalは米国時間5月30日、「子供の保護」を強めるために約500の日記を削除したことを認めた。この削除は複数の活動グループから促されて実施したと、Six Apartは説明している。そうした活動グループの1つに、小児性愛、未成年者の性的虐待、その他の違法な行為を助長するサイトを追跡する活動を掲げる、Warriors for Innocenceがある。
Six Apartの会長兼最高経営責任者(CEO)Barak Berkowitz氏は電話インタビューの中で、「こうしたサイトや日記の調査方法に関してわれわれのポリシーを見直した結果、ポリシーを満たしておらず、掲載しておくのは不適切だと思われる日記が実際に多数あるという事実が浮上した」と説明した。LiveJournalには1300万を超える日記があるという。
削除されたLiveJournalのコミュニティーには、「childlove」「little_children」といった名称のものがある(コミュニティーでは複数のLiveJournalユーザーが記事を投稿できる。個々のアカウントは1人のユーザーに限定される)。だが、こういったもの以外で削除されたものには、大まかに分類するとSF、ファンタジー、ユーザーによる「ファンダム」ストーリーなどにあたるものも含まれており、このことが激しい抗議のきっかけとなっている。
「bitterfig」の名で活動するLiveJournalユーザーは、「人間の本性の影の部分を探求する、ゲイでフェミニストのライターとして、私の物語の多くは、近親相姦やレイプや幼児虐待を取り上げている。そういう立場から、私は現在停止されているコミュニティーのいくつかに所属して寄稿していたのだし、率直に言ってひどく腹を立てている。レイピスト、小児性愛者、その他の『ウェブの怪物たち』と一括りになどされたくない」と書いている。
実際問題として、フィクションの作品を許容できるものかできないものかで一律に二分しようとすれば、当然ながら論争を巻き起こす。James Joyce、Henry Miller、William S. Burroughsといった著名な作家の作品は傑作として賞賛されているが、以前は猥褻物として罪に問われた。
LiveJournalに抗議している人々が憤慨しているのは、ディスカッショングループやアカウントの追放が、LiveJournal側が小児性愛を対象とするという限度をはるかに超えている点だ。ある投稿によれば、2つの日記が「何らかの形で違法行為を奨励した」という理由から削除されたが、そのアカウントは、明らかにあるロールプレイングゲームに登場するフィクションのキャラクターグループに属していたのだという。また、Vladimir Nabokovの有名な小説「ロリータ」に関する議論をスペイン語で行うコミュニティーが削除されたという話も伝わっている。
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