ワシントン発--米国時間1月30日、Google、Yahoo、Microsoftの関係者は、海外の捜査機関からユーザー記録の提出や検閲の要求があった場合の対応について、基本ルール策定に力を貸してほしいと米国政府に要望した。
米国務省は当地でインターネットの自由に関する初の国際会議を開催したが、なおも結論が出ずに残っている重要な問題は、捜査機関からのそうした要求が「正当」かどうか、不法でないかを、どうやって判断するかということだ。2006年には中国当局が、YahooとMicrosoftの協力によって反体制派のサイバー活動家たちを黙らせ、一部を投獄することに成功したと報じられたことで、この問題が一挙に関心を集めた。
Googleのポリシー担当シニアカウンセルを務めるAndrew McLaughlin氏は、次のように語る。「『ここに電子メールのアカウントがある。われわれは今、組織犯罪およびテロ防止に関する17の法令に基づき、捜査を行っている』と言われて、簡単に応じられるほど、これは単純な問題ではない。電子メールアカウントを盗み見て、彼らのやっていることがわれわれの好みに合うかどうかを探るなど、われわれにはできない」
米国の法律でさえ、米連邦捜査局(FBI)やその他の捜査機関がユーザー情報の提供を求めた場合、要求の正当性について企業が道義的に判断することを求めてはいない。したがって、国際レベルにおいても企業にそういう判断を求めるべきではない、とYahooの副顧問弁護士Michael Samway氏は示唆する。「だからこそ、政府の助けが必要なのだ」とSamway氏は述べた。
GoogleのMcLaughlin氏は政府に対し、こんな提案までした。「デトロイトにおいて(自動車の輸入の問題で)米国民の利益のために戦ってきたのと同じように、貿易の分野でわれわれの利益のために戦ってほしい。検閲を貿易障壁の1つとして扱い、自由貿易協定に盛り込むべきだ」
国務省側から具体的な回答はほとんどなかったが、国際社会に向けて強い口調で発言する関係者もいた。
民主主義人権労働担当国務次官補のBarry Lowenkron氏は、「われわれはここで、抑圧的な政権による不当なインターネットの利用規制を傍観したりはしないと明言する」と述べた。
米国は、各国政府によるインターネット情報の検閲に対抗するための作業部会「Global Internet Freedom Task Force」(GIFT)の編成を、Condoleeza Rice国務長官が2006年2月に発表して以来、インターネットを対象とする国際的な検閲を重大な人権問題と見なし、反対の姿勢を鮮明に打ち出そうとしてきた。その当時、米国政府は、主に中国で起きている一連の出来事に怒りをあらわにした。MicrosoftやYahooの関与に加え、ちょうどその頃Googleも、中国政府の希望に従い、検閲しやすい形で中国版の検索/ニュースサイトを立ち上げたためだ。
しかし、問題は「中国に限られたことではなく、もっと広い問題として扱うことが重要だ」と、コンサルティンググループBusiness for Social Responsibility(BSR)のDunstan Hope氏は指摘する。BSRは、Yahoo、Google、Microsoftとともに、厳しい規制を行っている国での事業展開の方法を考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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