Yahooは9月に、自動車や金融サービス会社からの広告出稿が低迷していることを受け、業績が芳しくないと警告し、急成長を遂げるインターネット広告コミュニティを驚かせた。
そこで多くの人が疑問に思ったのは、インターネット企業の最大手であるYahooが広告分野の業績に懸念を示しているのであれば、他のインターネット企業の業績も良くないということなのかという点だ。
現段階でははっきりとしたことは分からない。自動車や住宅ローンといった製品の広告を販売することで多額の収入を得ている企業は、Yahooと同様の不安を感じている可能性はある。しかし、その他のオンライン広告市場の推移は依然として堅調であると、アナリストらは述べている。
Bear StearnsのアナリストRobert Peck氏は、「これは現段階では、金融サービスや自動車業界の広告で大きな利益を得ているYahooなどのサイトに限られた傾向と思われる」と述べる。「マーケティングの専門家らによると、かつてはYahooだけに流れていた広告費が、トラフィックの多いMySpace、Facebook、YouTubeにも流れ始めているという」(Peck氏)
だが、不安を和らげるこのような言葉にも、十分な警戒が必要だ。自動車や不動産業界は、経済分野では「炭鉱のカナリア」として見られることが多く、これらの業界で不振が続けば、テレビやコンピュータの売れ行きにも影響が出るとされているからだ。これは、大手家電会社やコンピュータ会社も、広告費を抑えるようになることを意味する。
Needham & CoのアナリストであるMark May氏は、「Yahooに起きていることは、Yahooだけの問題ではない。広告市場全体に影響を及ぼす、マクロ経済的な要因に左右されているのだろう」と述べた。
Goldman Sachsが米国時間9月19日に開催した会合において、Yahooの最高財務責任者(CFO)を務めるSusan Decker氏は、同社が過去数週間において、自動車および金融サービス広告の販売に若干の落ち込みがみられると述べた。同氏はさらに、第3四半期の売り上げは、トラフィック獲得コストを除外すると、同社が予想していた11億2000万ドルから12億3000万ドルの範囲の下限にとどまる見込みであると述べた。トラフィック獲得コストとは、同社がコンテンツパートナーに支払う手数料を指す。
このニュースは悲惨な状況を連想させるには程遠いものの、業界にとって不安を引き起こす材料であることは確かだ。Yahooは業績を10月17日に発表する予定である。Thomson First Callが集計したアナリストの平均予想は、売上が11億1000万ドル〜12億ドル、利益が1株当たり9〜12セントとなっている。
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