ウェブの発明者Tim Berners-Lee氏は、インターネットアクセスとインターネットコンテンツを明確に分けることを呼びかけた。
Berners-Lee氏は5月23日朝、エディンバラで開催のWorld Wide Webカンファレンスで、大きな議論を呼んでいるネットの中立性に関して自身の見解を述べた。
「接続を得るための市場とコンテンツを得るための市場を分けることができれば、みんなにとって都合がよく、有益だろう。情報は、私が決定を下す際に必要なものだ。何を買うかだけではなく、どのように投票するかなどを決定するときにも必要だ」とBerners-Lee氏が報道陣に対して述べた。
「このような状況を変えようと、米国企業の一部が取り組んでいる。わたしがインターネット経由でテレビ番組を見るとき、私に番組を配信するための料金をテレビ局が支払うシステムになるよう、取り組みが進んでいる」(Berners-Lee氏)。
ネットの中立性とは、ブロードバンドプロバイダーはあらゆる差別を排除して、インターネットコンテンツを平等に処理すべきという考えである。特に米国においては2006年になって最も白熱した政治的話題となっており、電話会社が一部のウェブサイトを遮断、あるいはそれらのサイトにアクセスする際にユーザーから追加料金を徴収するかもしれないと懸念されている。
Google、Microsoft、Yahooなどの企業は、ネットの中立性に法的強制力を持たせる法律の制定を米国の政治家らに働きかけてきた。そのような動きは、ブロードバンドプロバイダーおよび一部のハードウェアメーカーと対立するものだ。
Berners-Lee氏は、このような状況を現在のところ米国のみの問題だとした。「欧州では、ネットの中立性は規則となっている」と同氏。
Berners-Lee氏は、ネットの中立性を支持する見解を示す一方で、まったく規制のない通信およびインターネット市場については支持していない。
「インターネットの開放性は素晴らしいが、ある程度の規則に基づいているというのが実際だ。英国でもそのような規則がある。例えば、手紙は切手を貼らないと配達されないというようなものだ」(Berners-Lee氏)
World Wide Webカンファレンスは5月25日まで開催され、スコットランドのJack McConnell首相の演説で開幕した。同首相は、Berners-Lee氏がウェブの基盤となるプロトコルを開発してからの15年間で、素晴らしい発展が遂げられたことを称賛した。
「Berners-Lee氏などの先駆者らがウェブを開発して以来、非常に短期間で信じられないくらい多くの可能性がもたらされた」(McConnell首相)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」