米政府、一般市民の電子メールを傍受--司法長官、上院公聴会で証言

文:Anne Broache(CNET News.com)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年02月07日 13時03分

 ワシントン発--米司法省のAlberto Gonzales長官は米国時間6日、論争を巻き起こしているNSA(米国家安全保障局)の監視プログラムについて、このオペレーションに携わる捜査官が、テロリストと無関係な米国市民の電子メールや通話をうっかり傍受していた可能性があることを明らかにした。

 Gonzalesは、同プログラムでは「(傍受の)対象が絞り込まれ」ており、プライバシー保護のための適切な措置がとられていると強調したが、プログラムが機密であることから、手続きの内容については説明できないとした。

 上院司法委員会では公聴会が何度か行われる予定だが、ミスを認める今回の発言はその第1回めで飛び出した。民主党および共和党の議員らは、10分間の割り当て時間を使い、この日唯一の参考人であるGonzalesに対し、機密盗聴プログラムに関する質問を行った。米国時間6日にはこの件に関してCNET News.comが行った調査の結果をまとめた記事が公開されたが、そのなかにはNSAに協力していないとする通信会社の一覧も掲載されている。

 Bush政権はNSAのプログラムについて、「通信する当事者のどちらか一方が国外におり、かつal-Qaidaなどのテロ関連団体のメンバーもしくは代理人であるものだけが傍受の対象になる」と繰り返してきた。同プログラムは、2001年9月11日の同時多発テロ直後から裁判所の事前の承認を受けずに行われるようになっていた。

 一方で、政府はGonzalesがこの日に何度も言及した3つの点からひたすら同プログラムを弁護し続けた。3つの点とは、合衆国憲法、同時多発テロの発生直後に可決したal-Qaidaとその協力者に対して武力行使を認める連邦議会の決定、そしてこの決定に関する最高裁判所の解釈だ。

 しかしGonzalesは、傍受に携わった捜査官の数、法的観点から見た場合の政府と通信企業やISPとの協力内容、新たな機密監視プログラムが同じ論理で認められているのかなど、自身が「作戦遂行上」の問題だと判断した質問はすべて回答を拒否した。

 Joseph Biden上院議員(民主党、デラウェア州選出)は、この日1日続いた公聴会のなかで、「米国内では、al-Qaidaなどの海外のテロリスト容疑者から発信された通信に関与する人間以外は、一切傍受の対象とならないことを確約できるのか」と質問した。

 Gonzalesは「確実な保証はできかねる」と答えた上で、「私が唯一米国民に確約できるのは、かなりの確度で手順通りの措置が執られるよう多数の予防措置を講じていることだけだ」と付け加えた。

 同プログラムが裁判所の承認を受けなかったことについては民主党から批判が相次ぎ、違法性が問われたが、同委員会委員長のArlen Specter(共和党:ペンシルバニア州選出)も、裁判所でプログラム全体を再検討するよう検事総長に強く求めた。

 「al-Qaidaと一切無関係の人々を巻き込む大きな流れがあることが懸念される。本委員会内のほか、この問題が極めて重要な意味を持ち、行方を見守っている数百万人の米国市民に対し、確約できることはないのか」(Specter)

 それに対し、Gonzalesは、「このプログラムは、対象をかなり限定した形で遂行されており、また実際に非常に数多くのチェック機能を設けている」と述べた。また同氏はその後「情報の収集等にあたっては、すべての米国民のプライバシーに関する利害を保護するための適切な方法がとられた」と述べたが、ただし具体的などんな情報が集められたかなどについては明らかにしなかった。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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