The Beatlesの関係者が、同グループの楽曲をインターネットで販売するために、技術ベンダー各社との間で予備交渉を進めていることを、この状況に詳しい情報筋が明らかにした。同グループはこれまで何年間もオンラインミュージックビジネスを避けてきていた。
この伝説のロックバンドの関係者らは、これまでに数多くのオンライン音楽プロバイダと話し合いを行ってきている。交渉相手はさまざまで、年内にオンラインでの音楽販売に進出予定のMicrosoftも、このなかに含まれている。Beatles側は、オンライン上での独占販売権をおそらく1年以上にわたって提供する見返りに、膨大な金額を要求している。
「彼らが探しているのは、Beatlesの楽曲をオンライン配信するための理想的な方法を思いついた相手だ」と、あるデジタル音楽配信企業の幹部は、CNET News.comに語った。
Beatlesは30年以上も前に解散し、すでに4人のメンバーのうち2人が他界しているが、その人気は一向に衰えを見せていない。そして、ロック界の第一人者ともいえるこのグループが、作品のオンライン配信に大きな関心を示しているというのは、デジタル音楽の短い歴史の中でひとつの節目となる出来事だ。オンライン音楽配信サービス各社は、実店舗より多くの曲を販売できることを証明しようと悪戦苦闘しており、Beatlesの曲の不在は理想と現実のギャップを示す例として引き合いに出されることが多かった。
Jupiter ResearchのアナリストMichael Gartenbergは、「オンラインでのデジタル音楽配信の普及を妨げていた要因の1つが、Beatlesなど、突出した人気を持つアーティストの作品の不在だった。もしBeatlesが何らかのライセンス供与に同意すれば、オンラインモデルの未来が開け、こうしたサービスをこれまで避けていた他のアーティストも参加してくるだろう」と語った。
だが、「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」や「Let it Be」がApple ComputerのiTunesやNapsterで発売されるまでには、まだまだ時間がかかるかもしれない。情報筋によると、現在検討されているアイデアの1つは、Beatlesブランドの店舗をオンライン上に設け、ネット上ではここでしか同グループの楽曲、ビデオ、各種マルチメディア商品を買えないようにするというものだという。このオンライン店舗を、既存のオンライン音楽配信サービスが運営することも考えられる。
ほかにも複数の有名グループがこのような計画を実行したことがあるが、期待通りの人気は得られていない。ミュージシャンのDave Matthewsは、マネージャーと関係のあるMusicTodayが運営するサイト上に独占オンラインストアを持っている。
そのほか、Led ZeppelinやMadonnaなどの大物アーティストは、オンラインでの音楽配信に関して、まだ多かれ少なかれ様子見を決め込んでいる状態だ。
技術の変遷といえば、過去にBeatlesは、楽曲をCDで提供することについて、音楽業界全体にCDが普及するまで待とうという判断を下したことがある。
何かしらの形で独占契約が成立した場合--特にAppleやMicrosoftのようなコピー防止機能を備えたプロプライエタリなフォーマットで音楽を配布することになった場合--各社のサービスやデジタル音楽のフォーマット、再生用携帯端末に相互運用性がないという問題にこれまで以上に注目が集まるのではないか、とアナリストらはいう。
オンライン音楽配信サービス各社との関係
もしBeatlesの楽曲がMicrosoftのフォーマットで提供されることになった場合、AppleのiPodがWindows Mediaフォーマットをサポートしていないため、楽曲をiPodで再生できない。逆に楽曲がAppleのフォーマットで提供されることになれば、そのデジタル音楽をiPod以外の機器で再生できなくなる。これは、Appleがライバル会社にFairPlayデジタル著作権管理(DRM)ツールのライセンスを提供していないためである。
Apple Corps(Beatlesが1968年に設立した管理会社)は昨年、iTunesミュージックストアが開店した後に、「Apple」という名前やロゴの使用をめぐって、Appleを訴えており、Beatlesはすでにデジタル音楽の世界と関わりを持っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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