米Intelの元従業員、Ken Hamidiが、同社の従業員宛てに大量の電子メールを送信した事件をめぐる裁判で、カリフォルニア州最高裁判所は米国時間6月30日、Hamidiの無罪判決を下した。
IntelとHamidiの争いは、「Hamidiが同社サーバに迷惑メールを大量送信し、同社のサーバに不法に侵入した」(Intel)として、6年前にIntelが同氏を提訴したことに端を発している。Intelの訴えによると、Hamidiは同社を誹謗する大量の電子メールを送信して勤務中の従業員の生産性を低下させたという。一方、1996年に同社を解雇されたHamidiは、合衆国憲法修正第1条で定められた言論の自由の権利を行使していただけだと反論していた。
法律専門家たちは、今回の判決が、コンピュータシステムの不正使用を禁じるカリフォルニア州の「trespass to chattels(動産侵害)」法に基づく訴訟に広く影響を与える可能性があると指摘している。これまで企業は、同法を根拠に、コンピュータシステムを乗っ取るスパムメール業者などと戦ってきた。
最高裁では、「今回の判決は狭義なもので、スパム関連の訴訟に直接適用されるわけではない」と述べている。また、最高裁は憲法問題については触れず、望まれない電子メールの送信が侵入にあたるかどうかを焦点に絞って判決を下した。最高裁は、「原告側は所有財産が損害を被ったという証明を示さなければならない」と述べており、これは所有財産が悪用されたことを証明するより困難だ。今回の判決の範囲はカリフォルニア州に限定されるが、今後他の州が、この判決の法解釈に追随する可能性もある。
Intelの広報担当者のChuck Mulloyは、同社が最高裁の判決に失望していると述べた。一方のHamidiは喜びを隠さず、Intel従業員とのやりとりを再開するつもりだとCNET編集局に語った。「この一件は明らかに、個人的立場および個人的興味を超えている。従業員対企業という訴訟であり、憲法と司法制度を試すものとなった。今後は、自分の電子メールに登録してあるIntel従業員6万8000人に対し、有益で教育的な電子メールを送信するつもりだ」(Hamidi)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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