米国の有力上院議員が、国防総省のデータマイニング計画に改めて懸念を表明し、米国民についての情報収集方法に関して詳細を明らかにするよう求めた。
Total Information Awareness(TIA)計画についての報告を求める法案を策定したRon Wyden上院議員(民主党、オレゴン州選出)は24日(米国時間)、国防総省に対し、TIA計画に関する11の質問に回答するよう求めた。その中には、計画の範囲や、計画が実行された場合のプライバシーや市民の自由への影響、さらにTIAシステムと連携される民間および政府のデータベースの種類に関する質問などが含まれている。
Wydenは、国防総省高等研究計画局(DARPA)局長宛ての書簡の中で、「仮想の脅威を探すために、TIA技術を使って膨大な量の米国民の個人情報を調査することに、依然として強い懸念を抱いている」と語った。
国防総省は、有望な技術を結集したTIAにより、データベース内の様々なパターンを追跡したり、テロ事件についての事前警告が可能になると主張する。DARPAによると、TIAはほかのデータベースの検索も行うが、国民個人についての電子化された情報原本の作成は行わないという。
プライバシーについての懸念が、テロの脅威に対する懸念に勝ることはまれだが、今年の早い時期には、議会がDARPAに対し、どの法律がTIAの最終的な実施規定を定めるかについて報告を行うよう求めていた。5月20日付けの102ページからなる報告書の中で、DARPAは「(TIAは)米政府が合法的にアクセス可能な特定のデータベース内で、認識し得るパターンを形成する」取引を追跡すると述べた。
Wydenは、24日に国防総省宛てに送付した書簡の中で、どのデータベースがTIAと連携されるのかについて、より詳細な説明を求めた。「(連携されるデータベースには)クレジットカード、ATM、電信送金、ローン申請、および/または信用調査書の記録も含まれるのか」(Wyden)。
またWydenは、DARPAが計画する「Next Generation Face Recognition(次世代顔認識)」計画で使用する100万枚の写真を、どのように調達するつもりなのか、また新たに設立されるプライバシー諮問委員会に、どの程度の権限が認められるのかについても質問した。
TIA計画は2002年初頭に初めて公式に発表された。当時ブッシュ大統領は、1986年のイラン・コントラ事件に巻きこまれたJohn Poindexterを、DARPA情報認知局(IAO)のトップに抜擢した。コンピュータ科学者の専門職協会であるU.S. Association for Computing Machineryなどの団体は、議会に対しTIAに制限を設けるよう求めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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