多くのウェブ関連企業は現在、開発者や、場合によってはエンドユーザーが「マッシュアップ」によって異なるウェブサイトの情報を組み合わせられるようにするXMLベースのプログラミングインタフェースを公開している。そして、物件情報の一覧を「Google Maps」や「Virtual Earth」などの地図サービス上に表示できるようにするマッシュアップが人気を集めている。
Web 2.0関連の新興企業の多さは、小さな企業が比較的素早く、少ない資金で事業を立ち上げられる実態も反映している。アナリストや起業家らによると、生産性の高い開発ツールや少ないオーバーヘッド(比較的低価格のハードウェアやオープンソースソフトウェア)により、事前に多額の出資をしなくても会社を立ち上げることがより現実的になっているという。
ウェブベースのアプリケーションに採用されるビジネスモデルは、一般に広告やサブスクリプション契約に重点を置いたものとなっている。
たとえば、オンライン生産性ソフトウェアベンダーのgOfficeでは、Googleの広告によって無償で提供するアプリケーションのコストをまかなっている。一部アナリストは、GoogleがWritelyをGMailのような広告付きのサービスとして提供すると予想している。
一方、37Signalsなどの企業では、月もしくは年単位のサブスクリプション契約を販売して売上を確保しようとしている。
ドットコム・バブル再来の懸念も
Web 2.0企業が毎日増え続けているような現状で、一部の人々は、これらの新しいベンチャーが長期的にビジネスを続けていけるのかという点や、これがドットコム・バブルの再燃かどうかという点に疑問を呈している。
SocialtextのCEO、Ross Mayfield氏は、株式公開やその後の成長よりも、大手企業に早期に買収されることを目的に会社を立ち上げている新興企業があまりにも多いと言う。
「問題は、早期売却を目的に会社をつくると、目標ははっきりしているが長期的な視野に立てない可能性があるということだ。簡単に言うと、エグジットの選択肢としてIPOを行う可能性が消えたり、予見できないM&Aの機会を失うことになる」と、Mayfield氏は「A Flip/Flop Bubble of Microventures?」というブログの中に記している。
同じように、Leapfrog Venturesのベンチャーキャピタリスト、Peter Rip氏も、一般ユーザー向けのマッシュアップは興味深くて楽しいものだが、情報共有というアイデアを中心に組み立てられたしっかりとしたビジネスモデルはほとんど見あたらないと述べている。「マッシュアップを興味深い一発芸から本物のビジネスに転換する上では、いくつかの問題があると考えている」(Rip氏のブログ)
それでも、過去2年間に数多くの小さなウェブ企業が買収されてきている。
Yahooは、写真共有サイトの「Flickr」や、ウィジェットと呼ばれるデスクトップアプリケーションを開発する「Konfabulator」を買収した。Googleも、「Blogger」や写真共有サービスの「Picasa」、地図サービスの「Keyhole」を含むいくつかの企業を買収してきている。
RedMonkのO'Grady氏は、今後さらに多くのWeb 2.0企業が買収の対象となる必要があり、それがかなわなければ単純に資金を使い果たしてしまうだろうと見込んでいる。数百人、数千人といった数のユーザーに対してウェブベースのアプリケーションを提供している企業も、それ以上に規模を拡大しようと思えば、各種のリソースや技術的な専門知識が必要になるからだ。
「幅広いユーザーに向けてウェブアプリケーションを提供するには、それをスケールさせる上での大きな困難を乗り越えなくてはならない」とO'Grady氏はいう。「GoogleやYahooなどには、サービスをスケールさせることに関して、しっかりとしたインフラや十分な経験がある。そうしたインフラや経験と、小さな企業の技術革新を組み合わせれば、非常に興味深いものができるだろう」(同氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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