サンフランシスコ発--GoogleのCEOであるEric Schmidtが、プライバシーを気にかける人々はGoogleの検索エンジンに懸念を抱くかもしれないと認めた。しかし、同氏は、自社のテクノロジーについて、「邪悪なことはしない」という会社の基本的なモットーに反していないと主張した。
Schmidt自身、Googleで検索した結果、自宅の電話番号がウェブ上に表示されているのを発見したことがあるそうだ。だが、同氏はGoogleに所定のフォームを提出することで、この情報を削除できたという。Schmidtは、こうした類のプライバシー問題が発生しても、それはGoogleの責任ではないと強調している。
米国時間18日に当地で開催された「Gartner Symposium」会場の演壇で質疑応答に臨んだSchmidtは、「Googleは、公になっていない情報は検索しない」と話し、さらに「自宅の電話番号をウェブ上で発見してしまい、困惑するユーザーは多い。だが、Googleがその情報を検索したのは、それがすでに公開された情報であったからだ」と続けた。
Googleはプライバシーをどのように扱っているかという問いに対し、Schmidtは、Googleの共同設立者Larry PageおよびSergei Brinとともに出席したある会合の話を持ち出して、同社では「邪悪なことはしない」という哲学が技術開発を凌駕しているとことを説明した。その会合では、企業幹部らが、Googleの改革を提案したという。
「1人のエンジニアが『これは悪いことだ』と発言し、座はまるで爆弾が投下されたようになった」と、Schmidtは振り返る。だがこの発言は真剣に議論され、「ブレーキをかけて、運営をストップするべきだ」ということになった。
長時間の話し合いが終わったときには、前述のエンジニアの主張が幹部の見解を圧倒していた。「結局、それはやはり悪いことだという結論が出た。口火を切ったエンジニアは、かわいそうに部屋を追い出されてしまったが」(Schmidt)
企業としての影響力が高まるにつれ、Googleにはプライバシー関連の苦情がしばしば寄せられるようになった。消費者保護団体および国会議員らは2004年に、Googleがウェブベースで提供する電子メールサービスの「Gmail」が、適切な広告を表示させる目的で電子メールドキュメントをスキャンしようとしているとして、同社を厳しく非難した。この騒ぎは次第に沈静化したものの、プライバシーに対する懸念は今も残っている。
最近では、Googleの「Web Accelerator」が非難の的になった。また、同社の地図表示サービスも、利用されている衛星写真が個々の住宅までも映し出しているとして話題になった。
Schmidtによれば、こうした詳細なイメージの表示は意図的に制限されているという。「庭のブランコが見えるわけではないし、またそうするつもりもない」と、Schmidtは話している。さらにGoogleは、政府機関からの要請に従い、衛星写真の一部分を空白化している。もっとも全般的には、より詳しい情報を得られるというメリットが諸問題の重要性を上回っていると、Schmidtは指摘した。
同氏はまた、同社のビジネス戦略や、従来のIT企業にはない技術的な優位性についても言及した。「Googleが属しているのは情報産業だ。情報産業には、IT産業をはるかにしのぐ大きなマーケットがある」(Schmidt)
Googleがビジネスの最優先事項としているのは、パーソナライゼーションと包括的なコンテンツ作りだ。これらを武器に消費者の関心を引き、情報市場にIT市場よりも大きな「宝の山」を出現させると、Schmidtは抱負を語った。
Googleは、ビデオやオーディオなどのマルチメディア情報を分類するコンピューティングシステムの評価を行っている。Schmidtはこの技術について、大規模に展開させられるものではないという。Googleの検索エンジンは当分の間、テキストおよびキーワード検索中心になるようだ。
Yahooとの競争が激しさを増す中、Googleはユーザーとの距離をさらに縮めようと努めている。そのための一策として、Googleは、人気の高まりつつあるオープンソースウェブブラウザ「Firefox」で、同社の検索技術が問題なく動作するようにしている。
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