マイクロソフトは4月7日、最新版の「MSNメッセンジャー7.0」を公開する。7.0は2004年12月3日にベータ版がリリースされて以来、ユーザーの要望に併せて機能を強化、追加して正式版となった。メンバーリストの制限数がこれまでの最大150人から300人に増えている。
まず、ベータ版から大きく変わったのはビデオ会話だ。これまでのメッセンジャーでも「WebCam」や「ビデオチャット」などがあったが、ロジクールのウェブカム技術を新規採用して、ファイアーウオール越しの接続を安定させた。さらに、ビデオ会話の画像を全画面で表示できるようにもなった。
このほか、ベータ版にはなかった機能としてはMSNミュージックとの連携がある。WMA形式(MP3は不可)の音楽をウィンドウズメディアプレイヤーで聞いていれば、その曲名やアーティスト名をメンバーリストに表示可能だ。表示された曲名などをクリックすると、MSNミュージックのサイトが表示される。
また、メッセンジャーの「表示アイコン」に動きが付いた簡易アバター(ダイナミック表示アイコン)を表示させることもできるようになった。スマイルの絵文字を送信すると相手のアイコンの表情が笑うなどの動きをする。いくつか用意されたアバターを利用し、ユーザーが自分で作ることはできないが、着せ替え程度のカスタマイズは可能だ。ただし、これは有料での提供が予定されている。
ベータ版から強化された点も多い。サウンド付きのFlashアニメーションが会話ウインドウに大きく表示される「ウインク」は、評判がよくなかった米国仕様から日本独自のものに変更した。ウインクの制作はYnotに開発を依頼した。セキュリティーの観点からユーザーなどが自作するようなことは認めない。また、会話ウインドウを揺らす「シェイク」は、ユーザーからのフィードバックにより、揺れる時間を若干短くした。絵文字や背景、表示アイコンのカスタマイズは、これまでは1つ1つ設定画面を開いて選択してきたが、正式版では画像のドラッグ&ドロップなどで簡単に変更できるようになった。
このようにカスタマイズ機能も強化されたが、新たに「コンテンツパック」が提供される。これは、カスタマイズされた絵文字と背景、表示アイコン、ウインクがパックになったもので、パックをダウンロードして選択すれば、これらが一度に変更される。Windowsのテーマを変更するのに似ている。これは広告モデルとして提供される予定だ。たとえば、飲料メーカーが自社飲料のデザインやカラーで絵文字や背景、ウインクを構成するなどといった利用で商品をアピールできる。スポーツチームやゲームメーカーなどでも効果がありそうだ。
このほか、MSNの課金ユーザーに限定で提供してきたフォトの共有が無料になり、すべてのユーザーが利用できる。会話ウインドウに写真が表示され、スライドショーで連続して見られる。また、会話ウインドウの中で、会話中に検索したい言葉をハイライトして検索したり、メッセンジャーと同じアカウントで使っているブログサービスの「マイスペース」へサインインした状態で移動したりできるようになった。
MSN事業部サービス部コミュニケーションサービスグループディレクターの丸岩幸恵氏は「MSNメッセンジャーはすでに収益が黒字だが、これまでのバナー広告、タブ広告に加えてコンテンツパッケージによる収益や絵文字などの有料提供により、さらに収益の向上が見込める」と事業としての好調をアピールした。
メッセンジャー市場ではヤフーも力を入れているが、丸岩氏は「まったく意識していない」と言う。それは「携帯電話の普及により、世界的に見て『メッセンジャー』の利用率が日本では極端に低いので、ヤフーに勝つというよりも一緒に日本でメッセンジャーの利用を促進していくことで頭がいっぱいだ」という理由からだ。こうしたメッセンジャーを使ったコミュニケーションの促進のために、2005年中には携帯電話向けのMSNメッセンジャーを投入する方針も明らかにした。提供はサイト形態にするかアプリ形態にするかなどといった詳細は今後詰めていく。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」