Free Software Foundation(FSF)が、オープンソースソフトウェアの開発者に対し、非常に重要でありながらあまり目立たないPC用ソフトウェアのフリーバージョン開発に取り組むよう呼びかけている。
FSFは、標準的なPC向けとなるフリーBIOSソフトの開発を促進したいと考えている。BIOS(基本入出力システム)は、PCのハードウェアとOSを仲介するソフトウェアだが、あまり良く知られていない。ノートPCのバッテリ駆動時間を延長するパワーマネージメントなど、ハードウェア関連の多くの先進機能はBIOSが実現している。
現在、PCやコンピュータのマザーボードに搭載されるBIOSソフトの大半は、PCメーカーや、PhoenixなどのBIOS専門メーカーが開発を行っている。BIOSソフトのアップデートを行う場合、その時期と内容はほぼメーカー側が決めている。FSFのRichard Stallmanは先週、ベルギーのブリュッセルで講演し、FSFがフリーBIOSを開発すれば、BIOSの管理はエンドユーザーに委ねられるようになると語った。フリーBIOSとは、無償かつ自由にインストール/利用ができるBIOSを指す。
現在でもLinuxBIOSのようなフリーBIOSが存在するが、Stallmanは同氏がPCクローンと呼ぶ標準的なデスクトップやラップトップPC向けに、フリーのBIOSをもっと開発するよう呼びかけた。
「多くのマシンでは、新しいBIOSのインストール方法が秘密にされている。そして、いまのところ大半のメーカーがわれわれに必要な協力を渋っており、これらの仕様を提供していない。デスクトップの場合、一部にフリーBIOSが動くマシンもあるものの、ラップトップではそうした例は聞いたことがない」(Stallman)
この取り組みは、以前からあったLinuxの心配の種を解決するのに役立つかもしれない。BIOSソフトは公開されていないため、ソフトウェア開発者がソースコードを見ることができず、パワーマネージメントなどの非常に複雑な機能をLinuxに対応させることは困難な場合が多い。
いまのところ、フリー/オープンソースのBIOSプロジェクトには、LinuxコミュニティやIntelなどの大手から一定の支援を受けている。
LinuxBIOSは、Linux OSカーネルをベースにした代替BIOSで、1999年から開発が進められており、AMDプロセッサ用の多数のマザーボードに対応している。
Intelも、大半のBIOSの基盤となる技術のアップデートに取り組んできた。同社はこれを、オープンソースソフトとしてリリースすると約束している。だがStallmanによると、この取り組みは完全ではないという。
この件に関し、Intelにコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
FSFでは、フリーBIOSソフトの開発を促進するために、PCに新しいBIOSソフトをインストールする方法の決定など、開発に関する複数の問題についての意見を求めている。また同グループは、LinuxBIOSを含むフリーBIOSソフトを採用したマザーボードの購入や、フリーBIOSをサポートしているAMDのような企業の製品を選ぶことも推奨している。さらに、Intelのような他の企業に手紙を書き、フリーBIOSソフトをサポートするよう働きかけることも求めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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