フィリップス、動画用「指紋」技術を開発中--違法ファイル交換に照準

John Borland (CNET News.com)2005年02月14日 11時50分

 Royal Philips Electronicsの研究者らが、動画ファイルの転送を自動的に特定して遮断する新しい「指紋」技術の開発を進めているが、この技術がPtoPネットワークと戦う映画会社の新しい武器になる可能性がある。

 一部の大学ネットワークなどでは、音楽ファイルの交換を追跡し違法な複製を防ぐために、同様の技術がすでに使われている。Philipsのオーディオ指紋技術は、Napster創業者のShawn Fanningが設立した新会社、Snocapの技術的な要となっている。同社はファイル交換ネットワークを利用した合法的なデジタル音楽販売を目指している。

 映画会社各社は現在、ネット上での映画ファイル交換撲滅に積極的に取り組んでいるが、Philipsが開発するこの技術は、他社から出ている関連ツール類とともに、ハリウッドにとって強力な武器となる可能性がある。今のところ、これらのツールはまだ開発の初期段階にあるが、Philipsは潜在パートナーや顧客にこれらを公開し始めている。

 PhilipsのRonald Maandonks(コンテンツID事業開発マネジャー)は、「この技術は、PtoPネットワーク上でコンテンツを特定するのに最適だ。われわれは現在、エンジニアのグループと協力して、この技術の改善に取り組んでいる」と語った。

 交換中の動画ファイルを特定できるツールが登場すれば、PtoPをめぐる論争に再び火がつく可能性がある。映画/音楽業界は、PtoPソフトウェア企業に対して、著作権で保護された作品の交換を阻止するフィルタをインストールするよう圧力をかけてきたが、ソフトウェアベンダー側では実際的でないとして、そうした考えに抵抗していた。

 指紋識別技術がPtoPの世界に初めて登場したのは2001年のことで、この時連邦裁判事は元のNapsterに対し、同社ネットワーク上での著作権で保護された楽曲の取引を阻止するよう命令を下した。同社は初期のオーディオ指紋技術を採用して楽曲の特定を行おうとしたが、最終的にはそれが同ネットワークをほとんど使いものにならないものにしてしまった。

 その数年後、独立系ベンダーのAudible Magicが登場し、オンラインで楽曲を識別する独自の手法を開発したと主張した。すると、RIAA(全米レコード協会)がこの主張にすぐ飛びつき、ファイル交換企業各社はこのような楽曲遮断フィルタを自社ソフトに組み込むべきだとした。

 Audible Magicの技術は現在、セントラルワシントン大学(ワシントン州エレンズバーグ)やヴィッテンベルク大学(オハイオ州スプリングフィールド)など、一部の大学のネットワークで楽曲交換の特定および遮断用として利用されている。

 動画用の指紋技術の仕組みも、オーディオ用に開発されたものとほぼ同じものになる。オーディオ用の技術では、各曲にユニークな一連のデータ(「指紋」)が割り振られており、ISPのネットワーク内にインストールされたソフトウェアが交換されるファイルを監視し、これらの指紋とデータベース内の情報を照合する。そして、データベースの情報と一致する指紋を持つファイルが見つかれば、そのファイルを交換できないようにする。

 この仕組みでは、交換されるファイルが圧縮されていたり、他のファイルフォーマットに変更されている場合などでも指紋の識別が可能になっているが、これは1と0というデジタル信号の代わりに、楽曲の音楽的な特性を元にして指紋の識別を行うためだ。

 動画の識別プロセスもこれと同様の仕組みで機能するものの、ただしこの場合は、音楽的な特性ではなく個別の画像の視覚的特長に基づいて判断を行うという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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