米国映画協会(MPAA)がInternet2の研究グループとの話し合いを進めている。MPAAは、この超高速ネットワーク上で、次世代ビデオ配信プロジェクトの実験と、ピア・トゥー・ピア(P2P)著作権侵害の監視を、Internet2と共同で行いたいと考えている。
Internet2は、簡単にいうとインターネットを極めて高速化したネットワークで、この運営にあたる大学やハイテク企業では、広域帯通信用のハードウェアやアプリケーションの研究に役立てること、ならびに大量のデータをやり取りする研究者を支援することを目的としている。しかし、学生によるファイル交換のトラフィックもすでに同ネットワークに入り込んでいる。
MPAAと同研究グループは数カ月にわたって話し合いを続けてきており、MPAAはInternet2グループにメンバーとして参加するか、または同グループと協力関係を結ぶ可能性を検討している。
MPAAのChris Russell(インターネット標準および技術担当バイスプレジデント)は、「われわれはここしばらくInternet2と協力しながら、この超高速ネットワーク上でのコンテンツ配信を活用する方法や、同時に非合法のコンテンツ配信を管理する方法を探ってきていた」と言う。「この2つは互いに深く関わり合う事柄だ」(Russell)
Internet2プロジェクトは、その商業利用の可能性と、さらにはその危険性をも米国映画業界に示した。この強力なネットワークを使えば、現在普通のMP3ファイルを送るよりも高速にDVDをまるまる転送できてしまう。
研究者らは先ごろ、スイスから東京に毎秒7.21ギガバイトの速度でデータを転送する実験に成功した。これはDVD相当の画質をもつ映画を世界中どこにでも5秒以内に転送できる速さだという。
Internet2とMPAAの話し合いは1年近く続いているが、そのきっかけはMPAAの会長だったJack Valenti が各大学の幹部に対して行った、著作権侵害の問題やどんな映画でも瞬時に手に入るようにする可能性についての公演だった。
Valentiの描き出したビジョンは、Internet2の研究者の間で共感を呼んだ。彼らは既にコンテンツ配信の新しいモデルについて研究中だったからだ。同グループにはすでに映画会社のWarner Brothersと、そして音楽オンライン配信サービスのNapsterがメンバーとして参加していた。この時以来、この両者は協力の可能性について話し合ってきた。
Internet2のバイスプレジデントGary Bachulaは「我々は高度なコンテンツ配信について、我々のメンバーと将来メンバーになる可能性のある方々が共同で検討することに幅広く関心を持っており、これはそれを実現するものだ」と語る。「もちろん、我々は合法的で安全なものをつくることを目指している」(Bachula)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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