米レコード協会(RIAA)によると、今年は音楽CDの出荷額が急増しているが、ここ数年来の落ち込みを相殺するほどではないという。
RIAAによると、2004年前半における音楽CDの総出荷額が、前年比べて約4%増加したという。小売店への出荷額が前年と比べ10%増加したことから、消費者からの需要が大きく伸びていることが分かる。
しかし、音楽CD市場が成長軌道に戻ったからといって、ファイル交換やデジタルコピーに対する数年来の法的責任の追及をやめるつもりはないと、同協会の幹部は述べる。
「トンネルの先に光が見え始めたが、これから先の道のりはまだ険しい。行われている場所がオンラインであろうが、道端であろうが、著作権侵害は音楽業界に深刻な打撃を与えている。おかげで何千人もの人が職を失った」とRIAAのCEO、Mitch Bainwolは述べた。
今回発表されたデータにより、インターネット上のファイル交換やデジタル音楽ダウンロードという新しい販売形態が音楽業界に与える影響について、議論が再燃しそうだ。
音楽業界はここ4年間、売上が前年割れするという厳しい状況に見舞われてきた。この影響で同業界では多くの人員が解雇され、組織の整理統合が進んだ。また、新人アーティストの育成予算の縮小にもつながった。
レコード会社の幹部らは衰退の原因として、NapsterやKazaaをはじめとするファイル交換ネットワークを非難してきた。これらのネットワークを通して莫大な数のMP3ファイルが無料でダウンロードされている。
しかし、これらのファイル交換ネットワークは音楽業界の売上にほとんど影響を与えていないと結論付けた調査結果もいくつか発表されている。これらの調査報告では、景気後退や、ユーザーの限られた娯楽用予算をめぐるDVDやビデオゲーム業界との競争激化といった要因が音楽販売の衰退につながったとしている。
また今回のRIAAのデータからは、ユーザーの音楽消費パターンが変化していることも明らかになった。ファイル交換技術によって、ユーザーはCDアルバムを気軽に試聴できるようになるため、派手な販促キャンペーンが行われている大物アーティストだけでなく、無名アーティストのCDも売れるよになるだろうと、一部のアナリストはこれまでも予測してきた。
RIAAによると、最も売れ行きの良いCDアルバム(こうしたアルバムに収録された音楽のほとんどはファイル交換ネットワークに流出している)の売上枚数は、2001年に比べると比較的少ないという。
最も良く売れているアルバム50種の総出荷枚数は2001年と比べて16.7%減少した。また上位50種のアルバムについては出荷枚数が19.7%減少している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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