大手CDショップの団体はこれまで連携して、インターネット上でApple ComputerのiTunesなどのオンラインサービスに対抗する計画を進めてきたが、この計画が棚上げされることになった。
2003年初頭に鳴り物入りで立ち上げられたプロジェクトEchoは、Best BuyやVirgin Megastoresなどの大手小売業者がオンライン事業に進出してファイル交換サービスやデジタルミュージックストアに対抗するための足がかりを築くはずだった。しかし、開発コストがかさんだことや、ライバル各社が低価格でサービスを提供したこと、成功したAppleでさえもオンライン音楽事業の売上が予測を下回ったことなどから、大手小売業者たちは同プロジェクトから資金を引き揚げる判断を下した、と創設関係者らはいう。
Echoプロジェクトに出資する共同創設者のAlex Bernsteinは、「全小売店の収支と比較した場合、Appleの音楽販売サイトでさえ売上の数字は微々たるものだ。役員会から何度もこのような話があった」と語った。
Echoの取り組みを(少なくとも現在のところは)中止しようという今回の判断からは、大手CDショップらがオンラインのデジタル音楽に対して抱く複雑な心境が読み取れる。かつてはネット新興企業に駆逐されることを恐れて、即座に団結する必要性を訴えたものだが、現在では慎重な姿勢をみせ始めている。
アナリストらはデジタル市場について、やがて実店舗と競合するまでに成長するだろうが、現時点では未成熟であり、小売業者にも試行錯誤しながらゆっくり反撃に出るだけの時間的猶予がある、と述べる。
Jupiter ResearchのアナリストMichael Gartenbergは、「今のところ、CDが近い将来なくなるとは考えていない。(小売業者側にも)機会逸失を過度に心配する傾向は現時点では見られない」と語った。
RIAA(全米レコード協会)によると、2003年に小売業者に出荷されたCDは、 112億ドルに相当するという。一方、ダウンロードミュージックの今年の売上は最高で2億4500万ドルになるだろうと予測されている。これは、CDの全売上の2%に相当し、2003年のカセットテープ売上高の2倍をわずかに上回る額だ。
また、今日のデジタルダウンロード音楽の年間売上高は、CDの平均的な売上7日分をわずかに上回るに過ぎない。これは徐々に変化していくだろうが、現在のところ、巨大企業にとっては取るに足らない数値なのかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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