サンフランシスコの連邦裁判所判事は、8カ月に及ぶ審理の末、ソフトウェア会社の321 Studiosが開発する人気の高いDVD複製製品を違法とする判決を下した。
Susan Illston判事は、米国時間20日に公表した判決文の中で、複数の映画会社が321 Studiosに対して求めた差し止め請求を認め、321 StudiosにそのDVD複製製品の流通を7日以内に停止するよう言い渡した。
今回の裁判は、消費者が複製用の商業ソフトウェアを使って、合法的に購入したDVDやビデオゲームなどのデジタルエンターテイメント製品のバックアップを作成することが、どこまで許されるかを見るテストという見方が強い。Illston判事は、連邦法に照らした場合、たとえ消費者に自分の所有する映画などを個人的に複製する法的な権利が認められているとしても、321 Studiosのソフトウェアのような、DVDの違法コピー防止技術を解除する製品を販売することは違法だと記している。
「問題となっているのは技術そのものであり、その使用対象となる著作物ではない。顧客が著作権で保護された作品を合法的に末端利用できるとの主張は、ソフトウェアメーカーによる(著作権法の)規定違反を擁護するものではない」(Illston判事)
今回の判決は、昨年5月以来Illston判事の法廷で審理中だった裁判に下されたものだが、これが、映画会社による収益力の高いDVDビジネスに対するデジタルコピー保護の強化に大いに役立つ一方で、DVD複製ソフト市場での売上拡大を牽引していた製品がなくなる可能性もある。
先に行われたインタビューのなかで、321 Studiosは自社のDVD複製ソフトウェアについて、主にCompUSAなどの大手小売チェーン経由で、約100万本販売していると述べていた。今回の判決内容により、同社は著作権保護されたDVDからコピーを「リッピング」する機能を自社のソフトウェアから削除するか、流通している同製品をすべて回収しなくてはならない。
同社は、ソフトウェアの回収を免除される緊急猶予措置を申し立てるが、結果にかかわらずIllston判事の判決については上訴すると述べた。
「黙ってあきらめることはできない」と、321 Studios社長のRobert Moore。「消費者にとっては、あまりに重要な製品であり、我々の文化の発展にとっては重要という言葉では表しきれない意味を持つ。我々は、最高裁か議会までこの戦いを続けることになると考えている」(Moore)
一方、映画会社側の幹部らはこの判決を賞賛している。
MPAAのCEO、Jack Valentiは声明の中で、「企業には、法文の一字一句まで遵守し、顧客に違法な行動をさせることのない製品を開発する責任がある。この日の判決は、新しいデジタル技術によってエンターテインメント製品の楽しみを膨らませる一方で、著作物を保護することも企業にとっては絶対不可欠である、との明確なメッセージを伝えるものだ」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」