ファイル交換アプリケーションは、企業の社内ネットワークに深く根付いていることが、カナダのネットワーク監視会社が行ったコンピュータシステム調査で明らかになった。
加AssetMetrixが実施した、従業員数10人〜4万5000人の企業560社を対象にした調査の結果によると、77%以上の企業でKaZaAやMorpheusといったP2Pソフトがインストールされていることが判明した。同調査の対象企業のうち、従業員数500人以上の全企業では、ファイル交換ソフトウェアが少なくとも1つはインストールされていた。
著作権で保護されている作品をオンラインで提供している個人に対して、レコード業界が数千件にも及びかねない訴訟を準備しているなかで、この調査結果は、企業や個人が抱えているリスクを浮き彫りにしている。
「企業はこの問題をどのように管理したらよいか途方にくれている」とAssetMetrix社長Paul Bodnoffは言う。「企業の多くは、ソフトウェアライセンスの場合と同様、合法的でありたいと考えている。しかし問題は、どうすれば合法的になれるのかということだ」
社内ネットワークにおけるファイル交換は、企業の法的責任を超えるいつくかの理由により、ここ一年間で、ますます多くの関心を集める問題となっている。
著作権保有者らは、フォーチュン500のリストに名を連ねる大企業に法的リスクを警告する手紙を送付したり、さらには大規模な著作権付き楽曲のアーカイブが見つかったある企業に対しては100万ドルで和解するなどして、企業に対する圧力をますます強めて、従業員のファイル交換行為の取り締まりを求めてきている。
また企業のIT管理者は、ファイル交換アプリケーションによってコンピューティング資源が枯渇することも懸念しているという。ウイルスがP2Pソフトウェア経由で社内ネットワークに侵入する恐れはあるし、映画などの大きなメディアファイルが大量の帯域を占領してしまい、企業に予期せぬネットワークコストがかかることも考えられる。
最近では、ファイル交換ソフトウェアなどの許可されていないアプリケーションを検知し削除する、ネットワーク管理ツールを提供する企業がいくつか新たに誕生した。AssetMetrixでは現在、企業が社内ネットワークをスキャンし、インストールされているP2Pクライアントの数や、P2Pサービスでダウンロードされたマルチメディアファイルの容量などを調べられる無料サービスを提供している。
また、個人のファイル交換サービス利用者に対する最初の訴訟は、米レコード協会(RIAA)が8月中旬に起こすと見られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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