ひそかに注目を集めるクローキング--ウェブ上のかくれんぼに新展開

Stefanie Olsen (CNET News.com)2005年02月22日 20時18分

 Jay Allenは、ストーカーのように自分のブログに意地の悪いコメントを何度も書き込んでいる人物が、昔の恋人であることを見抜いていた。

 そこでAllenは、自分のブログをバーチャルなカーテンで隠すという受身の抵抗を試みた。同氏は「クローキング」と呼ばれる技術を使って、自分のブログが昔の彼女にだけは更新を停止したように見せながら、他のユーザーはふつうに見られるようにした。

 「(彼女のコンピュータの)IPアドレスがわかったので、彼女がサイトにアクセスしたときには別のページを表示するようにした」とソフトウェア開発者のAllenは説明する。「この方法は実にうまくいっていた。ところが、1カ月半ほど経過した頃、彼女がインターネットカフェに立ち寄った。そして、私のブログがきちんと更新されているの見つけてしまった。それからはまた、嫌なコメントがたくさん書き込まれるようになった」(Allen)

 「それでも、(クローキングは)ページを隠す良い方法だと思う」(Allen)

 このようなIPアドレスを使ったフィルタリング技術は、何年も前から存在しているもので、昔の恋人を避けること以外にも、ビジネスの世界から注目を集める便利な用途が数多く存在する。

 クローキングを使っていると認める人は少ないだろうが、この手法を利用して競合相手にスパイ行為を働くことが、ウェブサイト運営者や企業の間で人気を集めている。

 ウェブトラフィックのログという形で残る足跡は、ある種の調査活動が行われたことを相手に知らせるものだ。場合によっては、そこから競争上の新しい秘密がライバルにばれる可能性もある。

 たとえば、オンライン小売サイトの場合、競合相手にだけは一般価格より15%高い値段をつけた商品を見せられる。この値段を参考に価格設定をした競合相手は顧客を失うことになるだろう。

 「電話の発信者通知サービスでわかるように、人は誰が自分に電話をしているかを知りたがる。コンピュータの世界でもこれと同じことが起こりつつあり、誰が自分のサイトを見ているのかを知りたいと思っている」と説明するのはフロリダの私立探偵、Chris Coxだ。「マーケティングなどの目的でこうした行為を行うことはごく一般化している。ただし、なかには険悪なものもある」(Cox)

 インターネットが主流メディアの仲間入りを果たすのに合わせて、レコード業界が起こしたPtoP音楽ファイル交換訴訟など、世間の注目を集めた訴訟によって、オンラインではプライバシーが保障されていないことが明らかになった。だが、ユーザーはいまだにウェブサーフィンは匿名で行えると感じている。「安全なウェブサーフィン」用をうたうツールやサブスクリプションベースのプライバシー保護ツールが消費者の間で普及していない理由もそこにある。

 こうした技術の利用者は、以前ならマーケティング会社が自分の一挙一動を見張っているとおそれる個人ユーザーが中心だったが、最近ではそれに代わって自社の機密情報に神経を尖らせる企業が多くなっている。

 これに伴い、ウェブサーフィン中に自らの足跡を隠すための新しいツールが、魅力的な防御策として注目されている。

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