デジタルミレニアム著作権法(DMCA)関連で注目を集めていた訴訟で、連邦裁判所はノースカロライナ州のある小さな企業に、Lexmark製プリンタでトナーカートリッジを再利用できるようにするチップの販売継続を認めた。
連邦控訴裁判所は26日(米国時間)、ノースカロライナ州サンフォードに拠点を置くStatic Controlに対して、同社のSmartekチップ販売を禁じた仮差し止め命令を覆した。
プリンタ部品などの事務用品を販売するStaticは、米国第2位のプリンタメーカーであるLexmarkに提訴され、自己弁護を続けていた。Lexmarkは訴状の中で、SmartekチップはDMCA違反だと主張しており、トナーカートリッジを再製品化している業界の活動に歯止めをかけると共に、消費者に純正カートリッジの購入を義務付けるよう裁判所に求めている。
Static最高経営責任者(CEO)のEd Swartzは声明の中で、「企業は著作権法を乱用して電子機器市場を独占したり、米国の消費者の弱みに付け込んではならない、という裁判所の判断が下された」と語った。
この訴訟は、DMCAの限界を初めて検証する裁判の1つとして多くの注目を集めてきた。DMCAは、インターネット上の著作権侵害を規制するため、米議会が1988年に制定したもの。
DMCAの第1201条では、著作権で保護された作品へのアクセスを制限する技術を迂回する行為、あるいは迂回を可能にする機器の販売は、一般に違法とされている。
Lexmarkは訴状の中で、SmartekチップはLexmark製チップで使用されている技術を模倣し、中身が詰め替えられた非純正カートリッジを同社のプリンタで使用できるよう、違法に細工していると主張。同社は、SmartekチップがLexmarkのソフトへのアクセスを制限するための技術的手段を迂回するものだと批判している。
しかし米議会はDMCAの中に免責条項を設け、捜査活動、暗号化の研究、セキュリティテスト、相互運用性の実現などの活動を明確に認めている。
Static Controlの場合は、その中の最後の免責条項が適用された。同条項は、それぞれ別個に開発されたコンピュータプログラム同士の相互運用性を実現する目的で行うリバース・エンジニアリングを認めている。またStaticは、Smartekチップの製造は米著作権法に明記されている従来の公正使用権によっても保護されていると主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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