Hewlett-Packardが米国時間10月21日、「Web 2.0 Summit」において2つのプロジェクトを発表した。同社はこれらのプロジェクトによって、とりわけ書籍と雑誌に新たな生命が吹き込まれることを期待している。
「BookPrep」と「MagCloud」は、お金がかかりすぎる、またはあまりにも困難だという理由でこれまで印刷されてこなかったコンテンツを、もっと簡単に読者に届けることを可能にする。
HPのニュービジネスイニシアチブ担当ディレクターであるAndrew Bolwell氏が筆者に述べたところによると、これらの製品は、出版業界が抜本的な変化のまっただ中にいるとの認識に基づいているという。Bolwell氏の見解では、この変化は、アイテムをあらかじめ印刷して、人々が購入することを期待してそれをさまざまな場所に流通させ、売れ残った製品を廃棄するモデルから、オンデマンド印刷によるもっと現代的なモデルへ移行することを意味している。Bolwell氏によると、米国では毎年、印刷された全雑誌の62%に相当する20億冊が売れ残って、埋め立て地に捨てられているという。
多くの場合、書籍も同様に前もって印刷される。そして、売れ残った書籍は同じように廃棄される。さらに、これまでに印刷された書籍の大半は、購入することができない。Bolwell氏によると、これまでに印刷された9000万作の書籍のうち、購入可能なのは4%だけだという。
HPのBookPrepは、そうした問題に対処するために構築された。このサービスは書籍のページをスキャンして、自動補正し、オンデマンド印刷のペーパーバックエディションとして販売できる状態にする。
ある大学図書館で約1年間にわたってテストされているBookPrepは、ビジネスモデルと複数の有名な提携先を手に入れている。同サービスは現在、GoogleとInternet Archiveからスキャンされた書籍を入手し、「Amazon.com」でそれらの書籍を販売しているのだ。
MagCloud事業は、雑誌印刷の問題に対処している。MagCloudは「Lulu」のようなカスタム雑誌印刷サイトだが、高級雑誌については、2月よりサービスの提供が開始されている。MagCloudでは、自作の出版物を作成し、所在地などの要素に基づいてユーザー向けに1冊の出版物をカスタマイズすることができる。読者が出版物を購入すると、MagCloudは購入者の所在地に可能な限り近い場所にあるプリンターでその出版物を印刷し、運送コストと時間を節約する。
同製品には、「Wikia」コミュニティサイトへのリンクが新たに追加され、ユーザーは「Wikia」ページの「magazines(雑誌)」を印刷できるようになった。同サービスはそれらを見栄えよくフォーマットする。このサービスは、「Offbeat Guides」に少し似ていると筆者は思った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 原文へ
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