Microsoftは「Windows Vista」で犯した過ちを「Windows 7」では何とか避けようとしている。それだけは確かだ。
その最も顕著な例を1つ挙げると、Microsoftは今回、より信頼性の高いソフトウェアベンダーになるべく努力している。同社は、Vistaの計画を途中で変更したり、何度も延期したことで、企業からの信頼を失ったことを分かっているのだ。
「Vista戦略の一貫性のなさが顧客やパートナーに多大な迷惑をかけたことを、わたしたちは認識している」とMicrosoftのシニアディレクターを務めるGavriella Schuster氏は今週、インタビューの中で述べた。
Microsoftは、現在ベータ段階にあるWindows 7を、2009年のホリデーショッピングシーズンに販売されるPCに搭載することを目標に、開発を進めている。
Microsoftは、自分たちの意見がWindows 7の設計の初期段階に十分に反映されていないことを危惧する一部の熱狂的ファンから批判を受けてきた。Schuster氏によると、同社はWindows 7開発の初期段階では、Desktop Advisory Council(デスクトップ諮問機関)などの取り組みを通じて企業顧客の意見を聞いたという。
「われわれは、計画段階を含む開発のマイルストーンごとに、定期的に彼らの考えを聞いた」とSchuster氏は述べる。
Microsoftが企業からのフィードバックを受けてさまざまな変更を加えている例として、Schuster氏はDVD再生機能を挙げた。
Vistaでは、Microsoftは消費者向けおよび「Ultimate」エディションのみにDVD再生ソフトを搭載した。一部の企業からDVD再生機能を求める声が上がると、Microsoftは企業向けのエディションにも同機能を追加した。しかし、今度はPCでDVDの映画作品を見られる機能を従業員に提供したくないという企業が出てきた。Schuster氏によると、Microsoftは最終的にすべての企業向けエディションにDVD再生機能を搭載し、企業側でイメージの選択によって同機能の有効および無効を選べるようになるという。
ほかにも、Microsoftが顧客に「BitLocker To Go」機能を公開したときにも変更が発生したという。これは、ファイル暗号化をUSBフラッシュドライブなどのポータブル機器にまで拡張する機能だ。Schuster氏によると、企業はこの機能を気に入ったが、暗号化を施した機器がWindows XPやVistaを搭載したマシンで使えなくなるのではないか、という懸念を抱いたという。そこで、MicrosoftはこれまでのOSにBitLocker To Goの簡易サポートを組み込むことにした、とSchuster氏は述べる。これにより、XPやVistaを搭載するマシンに暗号化で保護された機器が接続されたとき、ユーザーはセキュリティ証明書を入力することで、接続機器を読み取り専用モードで使用できるようになった。
Microsoftは企業顧客の声に耳を傾けるだけでなく、彼らが実際に作業する様子も観察している。Microsoftによると、Windows 7に追加した変更点の多くは、顧客が同OSを使う様子やつまずく部分に関して同社が収集した確固たるデータに基づいているという(Microsoftは、同社がWindowsの使用状況や問題点に関するデータを収集するためのオプトインプログラムを、いくつか用意している)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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