Intelは、ラップトップPCがその名の通り、ラップ(ひざ)の上に乗せて使えるものであってほしいと願っている。
ひざの上に乗せても熱くなく、快適に使えるコンピュータ。世界最大のチップメーカーであるIntelは、2009年にPCメーカー各社から多くの超薄型ラップトップPCが発売されると見ている。同社は今週、空気の流れが制限される薄型設計でも本体の外板が熱くならないようにするための冷却技術を発表した。
IntelのMobile Platforms GroupのゼネラルマネジャーMooly Eden氏は今週、台北で開催されたIntel Developer Forum(IDF)で基調講演を行った。その中でEden氏は、従来の冷却技術は、コンピュータ内部のコンポーネントにばかり目が向けられ、コンピュータの外までは意識されていなかった。Eden氏の基調講演は、イベント会場からストリーミング配信された。
Eden氏は、「超薄型システムを設計する際、(ラップトップPC本体の)外板の冷却が大きな課題だ」とした上で、「(ラップトップPCを)実際に自分のラップ(ひざ)の上に乗せて使うと、非常に不快に感じる。とても熱いのだ」と語った。これは「MacBook Air」やHewlett-Packardの「Voodoo Envy 133」といった超薄型ラップトップPCを設計する上での最大の障害の1つだ。
この問題が解決しない限り、「(ラップトップPCの)さらなる薄型化は不可能だ」(Eden氏)
Eden氏は、ここでジェットエンジン技術に触れた。ジェットエンジン内部の温度は摂氏1000度まで上昇する。しかし、ジェットエンジンの壁は燃料が入っている翼とつながっているため、常に冷やしておかなければならない。そこで、エンジンの熱が翼に伝わらないようにするために、層流冷却という手法が用いられている。
層流は、流体(この場合は空気)が平行な複数の層となって流れている状態を言う。
Intelは、これと同じ層流技術を使ったシステムを使ってラップトップPCの外板の熱を取り除くデモを行った。「われわれは、顧客企業にこの技術のライセンス供与を行っている。それにより、顧客企業はラップトップPCのさらなる薄型化が可能になる」(Eden氏)
またIntelは、同社のNehalem技術を基礎とした次世代ラップトップ用プラットフォーム「Calpella」(2009年後半に発売予定)を再び取り上げた。Eden氏は、グラフィックスとメモリコントローラがプロセッサと同一シリコン上に統合される、と改めて述べた。
またEden氏は、Nehalem内で、アプリケーションがどれだけプロセッサの処理能力を要するかによって、どのようにコアのスイッチオン、オフが行われるかを説明した。これは、クアッドコアのCalpellaを搭載したラップトップPCが十分なバッテリ寿命を提供する上で極めて重要だ(Eden氏は、CalpellaベースのクアッドコアラップトップPCが一般化することを暗に示した)。
例えば、ユーザーが多くの処理能力を要しないタスクを行っている時は、節電のため4つのコアのうち3つがシャットダウンされる。そして、必要に応じてコアを1つずつ作動させる仕組みだ。
またEden氏は、Nehalemの「ハイパースレッディング」(同時マルチスレッディング)について語った。ハイパースレッディングとは、コアごとに同時に2つのプログラムスレッドを実行する技術だ。これにより、スレッドの数が倍増するため、8個のコアは必要なくなる、とIntelは主張する。「われわれはすでに8コアを実現した。その方法は分かっている。しかし、それでは(PC内部が)熱くなりすぎていただろう」(Eden氏)
Eden氏は、IDFの基調講演中にCalpellaベースのコンセプトラップトップPCを披露した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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