投票までの期間には、激しいロビー活動や得票水増しに対する非難が生じた。
Microsoftに対する批判としては、同社が技術的な問題を十分に検討せずにOpen XMLに投票するようにと同社の提携企業らに働きかけたとする意見がある。
一方で、Microsoft幹部や同社関係企業は、IBMは、同社従業員が米国内の標準化団体の関係者であることから、不適切な方法で標準化への投票に影響を与えているとして非難している。
IBMは、「OpenDocument Format(ODF)」を強く推進しており、同社幹部はMicrosoftのOpen XMLは技術的に問題があり、OpenDocumentと機能が重複しており、十分にオープンではないとして批判してきた。IBMは、競合する規格であるOpenDocumentを推進し、同社の「Lotus」製品で採用している。
ISO標準化手続きに対し、最大140カ国が投票可能で、ロビー活動団体ODF AllianceのエグゼクティブディレクターであるMarino Marcich氏によると、この数週間、マルタやレバノンなどまだ手続きに参加していない国は、投票することが促されているという。
Microsoftの企業標準担当ディレクターであるJason Matusow氏は、スウェーデンの投票に関し、不適切な行為があったことを認めている。Microsoftの従業員がスウェーデンの2人の投票者に電子メールを送り、マーケティングサポートの見返りとしてOpen XMLに投票するようにと促したという。
Matusow氏は、この状況は不適切な行為であると認識され、Microsoft Swedenのマネージャーによって解決されたと述べた。スウェーデンの投票は現在、「棄権」に変更されている。同氏によると、これに関わった両サイドの人物が、後から同手続きに加わったという。
Matusow氏は先週、自身のブログの中で、「この電子メールによる問題は、多くの人々による多大な努力と手続き全体を台無しにする、非常に残念なものである」と記した。
確かに、2日の投票結果にかかわらず、ITベンダー間の競争により標準化手続きの評判が悪くなっているとして、この争いに対し、多くの人が嫌悪感を示した。
OpenDocumentを推進する弁護士であるAndy Updegrove氏は先週、同氏のブログの中で、「これまで20年以上にわたってオープン規格のサポートに人生の大部分をかけて従事してきた人間として、これは、1つの企業だけが有利になるように仕組みを構築するという、私がこれまで見た中で最もひどく遠大な例であると言わざるを得ない。実に驚くべきである。これはもちろん、多くの新しい国々が『賛成』に投じるだろうという私の予測が正しいと仮定した上での意見である」と記した。
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