複雑なデザインを採用したことから、Advanced Micro Devices(AMD)初となるサーバ用4コアプロセッサ「Barcelona」の出荷は6カ月以上遅れた。同社最高経営責任者(CEO)のHector Ruiz氏がSan Jose Mercury News紙に語った。
米国時間8月19日付けのMercury Newsに、Ruiz氏のインタビューが掲載されている。この中で同氏は「技術的な問題が1つ発生すると、それを修正するためにスケジュールが6週間程度遅れる。このような問題が発生しないように気を付けてはいるものの、Barcelonaでは予想以上に多くの問題が発生した。問題をすべて修正し終えた時点で、当初の予定から6カ月以上の遅れが生じていた」と語っている。
サーバ購入を検討する顧客に披露する新製品がないまま価格戦争に巻き込まれたAMDにとって、この6カ月間は厳しいものだった。
AMDはBarcelonaで、1枚のシリコンに4つのプロセッサコアを搭載することにした。同社はこれで、Intelが採用するクアッドコアチップの設計方法より、高いパフォーマンスが得られると考えている。だが、インプリメントが難しかった。Intelのクアッドコアチップは、2つのデュアルコアチップを1つのパッケージにまとめているだけで、デザイン上は特筆すべき点がない。Intelは2006年11月には既にこれを出荷している。一方、AMDのBarcelonaはようやくパートナー向けに出荷が始まったばかりで、Ruiz氏は正式なローンチが9月10日になることを正式に認めた。
スケジュールの遅延と、Intelによる値下げ攻勢を受け、AMDはサーバ用デュアルコアチップの大幅な値下げを余儀なくされ、利益が圧迫された。ただ、AMDが「ネイティブ4コア」のマーケティング戦略をあきらめたところで、Barcelonaの開発を続けながら、2チップを1個のパッケージに収めた4コアチップを数カ月前にリリースできていたかどうかは疑問だ。
もしこれが実現していたら、Intelに対するAMDの最大の利点も失われていたかもしれない。つまり、プロセッサとシステムメモリ間をつなぐパイプラインを高速化できる統合メモリコントローラだ。また、ドイツのドレスデンにある新しい65ナノメートル施設の稼働開始を待たされ、2006年後半に製造上の制約を受けたことを考慮すると、2つのチップをパッケージ化した4コアチップを製造することは難しかったかもしれない。
しかしAMDは、値下げ戦略に頼らずIntelのXeonチップと競えるよう、どのような種類であっても、2007年の早い時期に4コアデザインを出しておきたかったはずだ。一方で、Intelは感謝祭前の発売に向けて第二世代4コアチップ「Penryn」の準備を進めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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