新興企業Simply RISCが、Sun Microsystemsのプロセッサ「UltraSPARC T1」のシングルコアバージョンを開発した。SunはUltraSPARC T1の基盤設計にオープンソースライセンスを適用し、他社がその設計を採用して改良することを奨励しているが、今回のリリースはその試みが実を結び始めていることを示している。
UltraSPARC T1(開発コード名「Niagara」)には「コア」と呼ばれる8つの処理エンジンがあるが、Simply RISCの「S1 Core」と名付けられたプロセッサには、処理エンジンが1つしかない。同社Webサイトに9月8日付けで掲載されたところによると、このプロセッサは、ハンドヘルドコンピュータ、セットトップボックス、デジタルカメラなどで使われる組み込みコンピューティングアプリケーション用に設計されているという。
Simply RISCは、総合半導体専門メーカーSTMicroelectronicsの元エンジニアたちで構成されており、イタリアのカタニアとイギリスのブリストルで働いている。同社が初めて出荷したS1 Coreプロセッサの開発コード名は「Sirocco」だ。
Simply RISCによると、S1 CoreプロセッサはUnixとLinuxで動作させることが可能だという。SPARCシリーズのプロセッサ搭載マシンではUnix系OSであるSunの「Solaris」が主として使われており、SUNは、LinuxのプログラマーたちにUltraSPARC T1への対応に取り組むように働きかけている。Linuxディストリビューションの「Ubuntu」は、すでにUltraSPARC T1に対応済みだ。
SPARCプロセッサ部門を活性化するために、SunはUltraSPARC T1の基盤設計を公開している。オープンソースソフトウェアのサポートや拡張に取り組むプログラマーのグループのように、プロセッサに詳しいハードウェア技術者の「OpenSPARC」コミュニティーを作り出そうとしているのだ。
SPARCプロセッサは、1990年代にはサーバ向けプロセッサとして人気があったが、IBMの「Power」やIntelの新しい「Itanium」といったハイエンドプロセッサに押され気味になっている。しかし、最もきびしい競争は、x86プロセッサで起きており、Intelの「Xeon」やAdvanced Micro Devices(AMD)の「Opteron」などと激しく争っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」