サンフランシスコ発--Sun Microsystemsが「OpenSolaris」の支配権を他者と共有していないことから、同製品は真のオープンソースプロジェクトではなく、単なる「見せかけ」だと、同社と競合しているIBMの幹部が発言した。
IBMのLinux Technology Center運営に携わるバイスプレジデントDan Frye氏は米国時間8月15日、「LinuxWorld Conference and Expo」で行われたインタビューの中で、「Sunはすべてを壁の向こう側へ隠してしまっている。開発コミュニティは何の手出しもできない。(OpenSolarisは)うわべだけのもので、マーケティングは入念に行われているものの、コミュニティには発言権がない」と話している。
Frye氏はさらに、取り組みに真剣であったのなら、Sunは真のOpenSolarisコミュニティを形成するために、「ごく単純な仕事」をやれたはずだと述べた。すなわち、「プロジェクトのデザインに関する議論を公の場で行って、人々がその成り行きを見守れるようにすればよかった」(Frye氏)のだという。
当然ながら、Sunは同氏の見解に反発している。SunのJim Grisanzio氏は、同社がオープンソースソフトウェアを16回もリリースしていること、1年以上前の同プロジェクト開始以来、外部協力者が116度におよぶ開発貢献をしてきたことを例に挙げて、「なぜIBMがOpenSolarisコミュニティを攻撃しているのか理解できない」と苦言を呈した。
だがIBMの事業計画にも、競合するオペレーティングシステムに対する寛容な取り計らいが組み入れられているとは言えない。同社は、Linuxと自身のAIXを優先しているのである。一方Solarisは、同社の「Sparc」ベースコンピュータばかりでなく、IBMの「System x」サーバ上でも動作可能だ。OpenSolarisは、企業にソフトウェアの利用を促す力を持つ開発者を対象とし、彼らの関心を引くような作りになっている。Linuxも、1990年代に同様の過程を経て浸透していった。
IBMはOpenSolarisが「強力な競争相手」になるのではないかと懸念しており、専任のプログラマにOpenSolarisの開発状況を観察させてきたと、Frye氏は話している。そこから同社が出した結論は、現時点では脅威とはなりえないというものだった。
Frye氏によれば、同プロジェクトの開始後11カ月間にコードを提供した外部協力者の数はわずかに16名で、「Sunはコミュニティの形成に何の努力もしていない」という。これとは対照的に、Linus Torvalds氏が1991年にLinuxを発表してから同じく11カ月の間には、その10倍の数の外部協力者からの貢献があった。当時はインターネットも普及していなかったし、宣伝もろくに行われなかったにもかかわらず、とFrye氏は指摘している。
当のSunは、独自の基準でプロジェクトを評価している。「われわれは130におよぶメーリングリストを運用しており、コミュニティに属する何千人ものメンバーがその中で自由に発言できるようになっている。そのほかにも、40個のコミュニティおよび40件のプロジェクトを始動させ、プロジェクトの開始以来16回にわたってコードをリリースしてきた。ロードマップは公開されているし、ガバナンス(プロセス)には外部の意見を取り入れている。開発プロセスも公開している。119に上る外部協力者からのコードを採用しており、ソースコード管理システムを公に評価してもらい、その実際の運用に取りかかろうとしている。悪くないスタートが切れたとわたしは思っている」(Grisanzio氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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