サンの「Niagara II」、マルチスレッド処理の方向性を一段と明確に

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:藤原聡美、佐藤卓、小林理子2006年08月24日 22時38分

 カリフォルニア州パロアルト発--Sun Microsystemsのエンジニアが米国時間8月22日に語ったところによると、2007年後半にサーバ市場への投入が予定されている同社の次期プロセッサ「Niagara II」は、初代Niagara(正式名称「UltraSPARC T1」)の2倍となる64個の命令シーケンスを同時処理できるようになるという。

 初代Niagaraを搭載したUltraSPARC T1サーバは、8個のプロセッシングコアがそれぞれ4つのスレッドを実行し、一度に32のスレッドを同時に処理できる。Niagara IIは、プロセッシングコアの数は同じく8個だが、1つのコアで実行可能なスレッド数が8つに増える。Sunのチップ設計者の1人であるGreg Grohoski氏は、当地で開催された「Hot Chipsカンファレンス」でこう語った。

 「最初にチップを受け取ったのが5月の末頃で、それから5日後には、『Solaris』OSを起動していた。2007年の後半にはこのシステムを市場に出せるはずだ」と、Grohoski氏は述べた。同氏は実際の性能に関する数値は明らかにしなかったが、Niagara IIでは処理スループットを2倍以上にし、消費電力あたりのスループットも2倍以上にすることが目標に掲げられていると説明した。

 初代Niagaraでは、Sunのチップ設計技術に対する顧客の信頼を回復するために、かなり大胆な設計を取り入れた。2005年11月に初代Niagaraを発表したSunは、それから数カ月しかたっていない2006年第2四半期にNiagara搭載サーバで1億ドルを売り上げ、一定の成功を収めた。

 Niagaraシリーズはローエンド・サーバ向けプロセッサであり、サーバが個々のタスクをどれだけ速く完了させるかより、一度に多くのタスクをどれだけうまく並行処理できるかが重要なポイントになる。これに対し、IBMやIntel、Advanced Micro Devices(AMD)製のプロセッサは、シングルスレッドでの処理速度を強調している。

 Sunは、Niagara IIでマルチスレッド処理への道をさらに突き進もうとしている。各プロセッシングコアには「スレッドグループ」と呼ばれるセクションが2つずつあり、各スレッドグループは4つのスレッドを扱うことができる、とGrohoski氏は述べた。Solaris OSがスレッドを均等に割り振るよう管理するという。

 Grohoski氏は、一度に処理できるスレッドが倍増しても、チップの表面積は20%弱増える程度だと言う。チップサイズは製造費用、ひいては製品の収益性を決める重要な要素だ。

 初代Niagaraが90ナノメートルプロセスで製造されているのに対し、Niagara IIは65ナノメートルの回路エレメントを実現するさらに高度な製造プロセスで作られるため、より多くの機能を1つのチップに詰め込むことができる。Niagara IIはスレッド処理能力が倍増しているだけでなく、キャッシュメモリも4Mバイト搭載している。初代Niagaraのキャッシュメモリは3Mバイトだ。そのほか、複数の暗号化エンジン、「PCI Express」入出力(I/O)ポート1つ、FB-DIMM(fully buffered dual inline memory modules)メモリ用コントローラ4つ、10Gbpsイーサネットのデュアルポートを内蔵している。

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