日本のエレクトロニクス大手である東芝は、記録密度の点で競合各社に勝るハードディスクドライブ(HDD)を発売すると述べている。
東芝は2006年中に、1平方インチ当たり178.8Gビットの記録密度を持つプラッタを採用したノートPC向け2.5インチHDDを発売する予定だ。これが店頭に並べば、面記録密度の新記録となる可能性が高い。東芝によると、市販されているHDDの面記録密度は、現在のところ1平方インチ当たり133Gビットが最高だという。
東芝ストレージデバイス部門のマーケティング担当バイスプレジデント、Maciek Brzeski氏は「いつでもどこでも使えるドライブとして最高の面記録密度だ」と語り、競合各社がこれ以上の面記録密度を持つ製品を近い将来に発売する可能性は低い、と付け加えた。
新しいノートPC用HDD「MK2035GSS」は、記憶容量200Gバイトで、Seagateや日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)が喧伝している160GバイトHDDより25%も容量が大きい(記憶量の単位は、メモリチップやプラッタではビットを、ドライブではバイトを使う。8ビット=1バイト)。
記憶容量の増加が可能となったのは、2つの技術的工夫のおかげだ。まず、このHDDは垂直磁気記録方式の磁気ディスク2枚で構成されている。垂直磁気記録方式では、磁界が磁気記録面に対して垂直に向くよう磁性体を配置するため、従来の水平磁気記録方式に比べ、単位面積当たりに保存できるデータの量を増やすことができる。
さらに、MK2035GSSの記録ヘッドは、巨大磁気抵抗(GMR)素子ではなく、トンネル磁気抵抗(TMR)素子を採用している。東芝はこれまで、GMRヘッドを搭載する垂直磁気記録方式のドライブや、TMRヘッドを搭載する水平磁気記録方式のドライブはリリースしているが、TMRヘッドを搭載する垂直磁気記録方式のドライブは初となる。
とはいえ、MK2035GSSによる新記録は、これまでに出荷された製品だけを比較対象にしたものであり、記録を保持できるのもほんのひとときだろう。面記録密度は2年ごとに、ときにはさらに短い期間で、2倍に増加しているからだ。
日立GSTもプラッタ当たり230GビットのHDDをリリースする計画だが、出荷時期は2007年以降になる可能性が高い。
東芝は8月にMK2035GSSの量産を開始する計画だ。Brzeski氏によると、同HDDを搭載したノートPCの発売は2006年第4四半期を見込んでいるという。東芝は、6月第2週に台北で開催されるコンピュータおよび関連機器のトレードショーComputexにMK2035GSSを出展する予定だ。
プラッタ1枚に記憶できる容量が大きいため、200GバイトのHDDに必要なプラッタはわずか2枚だ。また、ディスクの回転数も1分当たり4200回転で、5400回転の競合機種よりも低くなっている。回転数を抑えられたのはTMRヘッドと新開発のプラッタのおかげであり、結果として電力消費も若干少なくなっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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