MicrosoftはCNET News.comに宛てて送付した声明で、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対するデータ保存の義務付けの提案に対して、法執行機関と協力する姿勢に変わりはないが、この問題は単純なものではないと述べている。以下に、声明をそのまま掲載する。
- われわれは、インターネットが誰にとっても、とりわけ子どもや家庭にとって安全なものになるよう確実を期すべきだという、Alberto Gonzales米司法長官の考えを強く支持する。Microsoftは米国時間の5月26日午前、他の企業とともにGonzales氏と話し合いをもち、データ保存が必要だとする同氏の懸念がどこにあるのか、とりわけ児童虐待に関する調査結果に関する意見を聞いた。
- ほかのインターネット企業と同じく、Microsoftはすでに、法執行機関からの求めに応じて、法的に認可された証拠保存プロセスを遵守している。このプロセスには、合衆国法律集第18編第2703条(f項)に基づいて、召喚状等の発行まで関連データをすべて保存するという要件も含まれている。これにより法執行機関は、犯罪行為が疑われる対象人物の個人情報について、広範なデータを最長180日間にわたって保存するよう義務づけることができる。そして、サービスプロバイダはこれに従う義務を負う。
- Microsoftは、オンライン活動における子どもたちの安全を守ることを確約し、児童を食い物にする者に対しては徹底調査して訴追するという法執行機関の取り組みを理解し、支持する。違法コンテンツについては関係当局に報告し、法執行機関とは密接に連携して、情報テクノロジや調査方法に関する技術的なツールやトレーニングを提供する。当社は、児童ポルノに反対する金融連合(Financial Coalition Against Child Pornography:FCACP)を支持する。この団体は、児童ポルノの撲滅のため、児童ポルノを販売するウェブサイトに関する情報を共有し、代金が彼らの手に渡るのを阻止する活動に取り組んでいる。Microsoftは2006年に入って、児童失踪・児童虐待国際センター(ICMEC)に協賛し、他の参加組織とともに児童ポルノに関するモデル法への支持を表明した。
- しかしデータ保存は複雑な問題で、児童ポルノ撲滅の取り組みだけでなく、セキュリティやプライバシー、安全性、および低料金または無料でのインターネットサービス利用といったさまざまな問題にかかわってくる。われわれは、欧州連合(EU)のデータ保存に関する条項に照らして、わが社のデータ保存方針を見直しており、米司法省と論議を重ね、法執行機関が求める規制と、(詐欺行為の検出や防止など)ビジネス上合法な範囲での必要性、そしてプライバシーやセキュリティに対する顧客の不安の解消という3点でバランスのとれる最良の方法を見つけ出したいと願っている。