最近の雇用傾向を一言で表現するならば「オフピープリング」(人員削減)という言葉がぴったりかもしれない。こうしたテーマを焦点にしたブログが米国時間11日に公開された。
広く知られている「オフショアリング」(業務の海外アウトソーシング)の問題よりも、機械化による雇用削減の方が深刻だと、コンサルタントのRichard Samsonは述べている。同氏はブログを通して、このような主張を展開している。
同氏はAutomatic Abundanceという名前のブログを通して、労働手段として機械が今後導入される職種、今後もオートメーション化をまぬがれる職種、こうした状況にマッチしたビジネスなどの話題を取り上げ、読者に警鐘を鳴らす予定だ。
「(オートメーション化は)われわれの目の前で、毎日起こっている。だが、それに気付く人は少ない」とSamsonは11日に発表した声明のなかで述べている。「今日生まれた子供が大学を卒業する頃には、人間のする仕事は、わずかしか残っていないだろう。20年〜30年の間で、人間の仕事のほとんどが、賢いテクノロジーに取って代わられるだろう」(Samson)
Samsonが指揮するコンサルタント会社EraNova Instituteによると、Samsonはこうした現象を数カ月前に「オフピープリング」と名付けたという。機械の導入により仕事がなくなるという予測は、産業革命の時代からあった。最近では、「The Jobless Future」などのタイトルの書籍も出版されている。
ITの世界では特に、こうした議論が活発に行われている。リサーチ会社Gartnerのアナリストらは昨年、IT業界の仕事の多くが20年のうちに消滅するだろうとの予測を示した。
ここ数年間は、(オフピープリングより)オフショアリングに注目が集まっている。オフショアリングとは、プログラミングなどのように高い技術力を必要とされる業務が、インドをはじめ、人件費の安い国々にアウトソースされるというものだ。しかし、オフショアリングが行われている範囲や、その影響を正確に把握することは難しい。
Samsonは技術革新が及ぼす問題の方が深刻であると確信している。同氏は、その証拠として、機械の導入により、農業分野における雇用のほとんどが消滅したことや、非農業部門の雇用全体に占める製造業種の割合が17%以下に低下しことを挙げている。今では銀行の窓口業務も、機械にとって代わられるようになった。「オフピープリングは、オフショアリングよりも遥かに影響が大きい。しかし、こうした問題がいまだ新聞の見出しやテレビに取り上げられないのが現状だ」と同氏は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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