自分の飼っているネコが何を考えているのか、知りたいと思ったことはないだろうか。ハーバード大学医学部(HMS)で開発された顕微鏡技術が、そんな人間の好奇心に答えてくれるかもしれない。
HMSの研究者が、生きている動物の脳の画像撮影に成功した。これは、脳内で神経細胞が互いにどのように影響しあっているのかを知る上で、重要な一歩となる。この技術は最終的には、アルツハイマー病のような神経変性疾患の研究に役立つと思われる。
Photo: Harvard Medical School |
先月初めに公開された低速度撮影による画像には、ネコとネズミの脳の神経回路がアップで写っている。被写体は撮影時に、白黒の線が縦、横、斜めに入った3パターンの画像を見せられたが、その際にそれぞれのパターンに応じて、異なる神経細胞グループが反応を示した。画像では、反応している神経細胞グループが光っている。
「この技術により、脳が感じていることを知ることが可能になる」とHMSの神経生物学教授R. Clay Reidは声明のなかで述べている。
科学者らが生きている神経細胞の画像を撮影したのは、今回が初めてではない。しかし、これまでは、ごくわずかな数の神経細胞しか一度に撮影できなかった。今回の新技術を利用すると、これまでより大きな範囲で組織をとらえることが可能であるため、研究者らは神経細胞がある機能を果たすためにどのように互いに作用し合うのかを、これまでより詳しく理解できるようになる。またこの技術は脳の構造をさらに深く理解するのにも役立つだろう。
ネコの場合、(平行線と比較して)傾斜線を見ると感度が強くなる神経細胞など、同じ特徴を示す神経細胞は脳内でも集まるように位置していることがわかった。
この画像を撮影するにあたり、Reidと研究員の大木研一氏は、ネコとネズミの神経細胞に染料を付着させ、これに強力なレーザーを照射して最新の顕微鏡で低速度撮影を行った。神経細胞のなかではカルシウムイオンが神経伝達物質を放出するうえで重要な役割を担うが、これを感知すると染料が光るようになっている。
公開された画像に写っている神経細胞は、見せられた絵のパターンに応じて反応した視覚野だ。動物に平行線を見せると、ある部分の神経細胞は反応し、画像を左右に動かすと、特定の部分が反応しなくなることが確認された。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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