フロリダ州オーランド発--Microsoft CEO(最高経営責任者)のSteve Ballmerは20日(米国時間)、いま最も頭の痛い問題はLinuxやセキュリティではなく、違法コピーだと語った。
「我々が直面している最大の問題は、本来ならソフトウェアに代金を支払うべき人々が、実際には支払っていないということだ」と、市場調査会社のGartnerが当地で開催した業界カンファレンスに集まったIT企業の幹部らを前に、Ballmerはそう語った。
同氏によると、違法コピーの流通や利用を食い止める方法の1つとして、開発途上国の消費者に低価格のPCを提供することが考えられるという。「一部の国々では、低所得者層向けに100ドル程度のコンピュータが必要になる。機能を絞り、その分安いPCをつくらなくてはならない」(Ballmer)
Ballmerは、貧しい国々の人々にも、ローコストでコンピュータを利用できる選択肢が1つあると述べた。「最小限のPCという概念--つまり、インターネットカフェがある。飲み物に料金を払えばコンピュータが利用できるインターネットカフェは、この市場で非常に重要な場所となっている。インターネットカフェの影響で、インドや中国における(Microsoftの)Hotmailのユーザー数は、PCの台数の5倍にもなる」(Ballmer)
Microsoftにとって、これらの市場でのWindowsやOfficeといったソフトウェアの違法コピーの問題が、重大な懸念となっているとBallmerは述べた。同氏は、とくにソフトウェアを購入する余裕のあるビジネスユーザーが違法コピーを利用していることを問題視しているという。
「中国やインドでは、PCは低所得者層向けの製品ではない。こうした地域でマシンを購入しているのは、比較的裕福な人々だ。だから、本当は価格を下げる必要はないのだ。政府や状況的要因によって海賊行為が減るまでは・・・こうした裕福な人々が料金を支払う可能性はなく、そして実際に支払ってはいない」(Ballmer)
しかし低価格化は、Microsoftが途上国での市場シェア獲得戦略の一部となっている。Microsoftは最近、インドやロシア、タイなどで低価格のWindows XP Starter Editionを発売する計画を明らかにした。このソフトウェアはエントリーレベルのPCにバンドルされるもので、小売での販売は行なわれない。
Ballmerは、クライアント用のオペレーティングシステム(OS)としてLinuxの人気が高まっており、その分Windowsが犠牲になっているとの意見に対して怒りを露わにし、「クライアントシステムでLinuxが相当数使われているところは、世界中どこにもない」と述べた。
Ballmerは、各国の政府のなかには、保有コストを検討した結果、Linuxの採用をあきらめたところもあると指摘した。「実情を確かめもせず、単に人伝えに聞いた作り話を鵜呑みにすることもできよう。だが、パリ市はWindowsに比べてLinuxのコストは非常に割高だと言っている。ブラジルでも同じような話がある」(Ballmer)
大規模なLinux導入を計画しているドイツのミュンヘン市は例外だ、とBallmerも認めている。「確かに我々はミュンヘン市(の案件)を失った。しかし、この話はもう何万回も話題になっているのに、彼らはまだぶらぶらしている状態だ・・・Linux導入のメリットを示す証拠はいったいどこに行ったのだろうか」(Ballmer)
なおミュンヘン市議会は9月に、同市がLinux導入に踏み切る最終決定を下したと発表している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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